炭治郎とあなたが外に出ると、
皆は中庭で稽古にいそしんでいた。
無一郎は剣を握りしめ、
じっとあなたに向き合う。
もう…炭治郎様と話は終わったの?
その…
ええ
無一郎、君の心配は杞憂だよ
僕は仏門に入るんだ
あなたを頼んだよ…
えっっ!?
無一郎、そういうことよ
わたしにはあなたでしょ
うん…////
そっか
ふふ
炭治郎、最後に稽古してゆかれる?
みんな、いいかな?
炭治郎様、俺がお相手しよう
炭治郎と杏寿郎は、向かい合って剣を構えた。
炭治郎は、植物のように心静かだった。
炭治郎様、なんと穏やかな…
ヒノカミ神楽…
炭治郎は斬りかからず、
剣を使った、美しい舞を披露した。
十二のヒノカミ神楽を繰り返し舞う。
なんて美しい…
僕の現世での最後の神楽だ…
あなた…君の目に焼き付けて…
うん…炭治郎…
忘れないよ
炭治郎様、
すご味が増しておられる
(炭治郎様はやっぱり
あなたのことまだ愛して…)
炭治郎の舞は、疲れることを知らず
一昼夜つづいた。
そして…
もうひとつ心残りがある
君たちの稽古の仲間に
加えてほしい人がいるんだ
連れてきてもいいかな?
よもや!
あなた様が許すなら、構わないが
いいわよ
僕が帝位を降りたあと、
孤立することが心配でね
あなた、頼んだよ
わかったわ
そして、炭治郎が連れて来たのは
右大臣とその弟君だった。
よォ…
ってどの面下げてだよな…
実弥っ!!
ううん、来てくれてありがとう
わたしもずっと心に引っかかってた
いろいろすまなかった…
俺のせいで…
あなたのせいではないと
言ったはずよ?
あなた…
兄ちゃん、ずっと泣いてたんだよね
おい玄弥っ/////
ば…/////
何言ってんだよォ…
弟の玄弥です
ふふっ
玄弥、よろしくね
はい…/////
実弥…玄弥…
あなた達さえよかったら
皆と稽古しに来てね
ああ
ありがとなァ…
よもや!
実弥殿の剣は、風のようで、
まこと見事だと聞いている
楽しみが増えた!
杏寿郎がいれば、安心ね
そして、炭治郎が
これを限りにと去る時が来た。
義勇亡きあと、
長いこと空席だった左大臣に
無一郎、君が就いてくれるか?
僕が!?左大臣に?
うん、右大臣の実弥と一緒に
この京の安寧を任せる
はいっ!!
必ずや平和で安らかな京に!
無一郎、頼むなァ!
これが僕の帝として
最後の仕事だよ
炭治郎…
あなたって人は…
帝にまでなった僕だけど、
ついぞ一番欲しいものは
手に入らなかった
炭治郎様…
どうかお元気で
無一郎、君もね
そしてもうひとつ
なあに?
僕には子が、義理の娘である、
あなたしかいない
だからあなたの息子である
勇霧に、帝位を授ける
勇霧が帝に!!??
まだ子どもよ!?
だから、実弥、無一郎、
君たちの協力が必要なんだ
新帝の勇霧を、お守りしてほしい
いいね?
任せとけぇ
必ずやお助けする
義勇様に代わってね
勇霧、君はまだ年若い
いろいろなことをよく学び、
きっと立派な男になるんだぞ!
はいっ!!
そして…
そろそろお迎えが来たようだ
炭治郎の視線の先を、
あなたはそっと振り返る。
炭治郎様、
伊勢よりお迎えに上がりました
天元!!??
あなた様、現世でまた
お会いできるとはな
炭治郎は、天元のいる寺に?
炭治郎様は、俺が責任を持って
伊勢にお連れする
天元、なんと静穏な顔…
僧となり穏やかに過ごされているのね
ああ
あなた様も、穏やかにおなりだ
光のふりそそぐ深い海のようだ
うん…
天元… よかった…
ふっ
じゃあな、あなた様
炭治郎と天元は、二条を去って行った。
姿が見えなくなっても
皆は、いつまでも動くことができなかった。
伊之助にもお祈り捧げないとね
わたしと縁のあった人々…
みなどうか、
次の世で魂が救われますように…
あなたの現世での運命の輪は
まもなく閉じようとしている…。
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