第51話

[松風] 炭治郎、帝として最後…
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2021/07/13 02:18
炭治郎とあなたが外に出ると、
皆は中庭で稽古にいそしんでいた。

無一郎は剣を握りしめ、
じっとあなたに向き合う。
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
もう…炭治郎様と話は終わったの?
その…
(なまえ)姫
あなた姫
ええ
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
無一郎、君の心配は杞憂だよ
僕は仏門に入るんだ

あなたを頼んだよ…
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
えっっ!?
(なまえ)姫
あなた姫
無一郎、そういうことよ
わたしにはあなたでしょ
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
うん…////
そっか
(なまえ)姫
あなた姫
ふふ

炭治郎、最後に稽古してゆかれる?
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
みんな、いいかな?
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
炭治郎様、俺がお相手しよう



炭治郎と杏寿郎は、向かい合って剣を構えた。

炭治郎は、植物のように心静かだった。
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
炭治郎様、なんと穏やかな…
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
ヒノカミ神楽…
炭治郎は斬りかからず、
剣を使った、美しい舞を披露した。

十二のヒノカミ神楽を繰り返し舞う。
(なまえ)姫
あなた姫
なんて美しい…
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
僕の現世での最後の神楽だ…
あなた…君の目に焼き付けて…
(なまえ)姫
あなた姫
うん…炭治郎…
忘れないよ
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
炭治郎様、
すご味が増しておられる
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
(炭治郎様はやっぱり
 あなたのことまだ愛して…)
炭治郎の舞は、疲れることを知らず
一昼夜つづいた。





そして…
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
もうひとつ心残りがある

君たちの稽古の仲間に
加えてほしい人がいるんだ

連れてきてもいいかな?
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
よもや!
あなた様が許すなら、構わないが
(なまえ)姫
あなた姫
いいわよ
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
僕が帝位を降りたあと、
孤立することが心配でね

あなた、頼んだよ
(なまえ)姫
あなた姫
わかったわ




そして、炭治郎が連れて来たのは
右大臣とその弟君だった。
実弥(朧月夜)
実弥(朧月夜)
よォ…

ってどの面下げてだよな…
(なまえ)姫
あなた姫
実弥っ!!

ううん、来てくれてありがとう
わたしもずっと心に引っかかってた
実弥(朧月夜)
実弥(朧月夜)
いろいろすまなかった…
俺のせいで…
(なまえ)姫
あなた姫
あなたのせいではないと
言ったはずよ?
実弥(朧月夜)
実弥(朧月夜)
あなた…
玄弥
玄弥
兄ちゃん、ずっと泣いてたんだよね
実弥(朧月夜)
実弥(朧月夜)
おい玄弥っ/////
ば…/////

何言ってんだよォ…
玄弥
玄弥
弟の玄弥です
(なまえ)姫
あなた姫
ふふっ
玄弥、よろしくね
玄弥
玄弥
はい…/////
(なまえ)姫
あなた姫
実弥…玄弥…
あなた達さえよかったら
皆と稽古しに来てね
実弥(朧月夜)
実弥(朧月夜)
ああ

ありがとなァ…
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
よもや!
実弥殿の剣は、風のようで、
まこと見事だと聞いている

楽しみが増えた!
(なまえ)姫
あなた姫
杏寿郎がいれば、安心ね






そして、炭治郎が
これを限りにと去る時が来た。
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
義勇亡きあと、
長いこと空席だった左大臣に
無一郎、君が就いてくれるか?
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
僕が!?左大臣に?
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
うん、右大臣の実弥と一緒に
この京の安寧を任せる
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
はいっ!!
必ずや平和で安らかな京に!
実弥(朧月夜)
実弥(朧月夜)
無一郎、頼むなァ!
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
これが僕の帝として
最後の仕事だよ
(なまえ)姫
あなた姫
炭治郎…
あなたって人は…
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
帝にまでなった僕だけど、
ついぞ一番欲しいものは
手に入らなかった
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
炭治郎様…

どうかお元気で
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
無一郎、君もね

そしてもうひとつ
(なまえ)姫
あなた姫
なあに?
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
僕には子が、義理の娘である、
あなたしかいない

だからあなたの息子である
勇霧に、帝位を授ける
(なまえ)姫
あなた姫
勇霧が帝に!!??
まだ子どもよ!?
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
だから、実弥、無一郎、
君たちの協力が必要なんだ

新帝の勇霧を、お守りしてほしい
いいね?
実弥(朧月夜)
実弥(朧月夜)
任せとけぇ
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
必ずやお助けする
義勇様に代わってね
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
勇霧、君はまだ年若い
いろいろなことをよく学び、
きっと立派な男になるんだぞ!
勇霧
はいっ!!





そして…
炭治郎(藤壺)
炭治郎(藤壺)
そろそろお迎えが来たようだ
炭治郎の視線の先を、
あなたはそっと振り返る。
天元(六条の御息所)
天元(六条の御息所)
炭治郎様、
伊勢よりお迎えに上がりました
(なまえ)姫
あなた姫
天元!!??
天元(六条の御息所)
天元(六条の御息所)
あなた様、現世でまた
お会いできるとはな
(なまえ)姫
あなた姫
炭治郎は、天元のいる寺に?
天元(六条の御息所)
天元(六条の御息所)
炭治郎様は、俺が責任を持って
伊勢にお連れする
(なまえ)姫
あなた姫
天元、なんと静穏な顔…

僧となり穏やかに過ごされているのね
天元(六条の御息所)
天元(六条の御息所)
ああ

あなた様も、穏やかにおなりだ
光のふりそそぐ深い海のようだ
(なまえ)姫
あなた姫
うん…
天元… よかった…
天元(六条の御息所)
天元(六条の御息所)
ふっ

じゃあな、あなた様
炭治郎と天元は、二条を去って行った。

姿が見えなくなっても
皆は、いつまでも動くことができなかった。
(なまえ)姫
あなた姫
伊之助にもお祈り捧げないとね


わたしと縁のあった人々…
みなどうか、
次の世で魂が救われますように…




あなたの現世での運命の輪は
まもなく閉じようとしている…。




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