この子、苦手。
佐藤勝利くん、、、21歳。
なにって、若い。
それ以外は好き、、、
どうせ、あれよ、また雨降ってるから、、、
やだ、なにそのテンション、、、
許してないのに、ぐぐっと人の傘に入ってくる、、、
点滅してる横断歩道に突っ込んだ!!
知ってるから。
彼はアイドルで、ここを渡れない事、知ってるの、あたし。
都合悪いことは、言いたくない。
高校生ぶりのダッシュだった、、、
雨の降る中、
走った、、、、というより、逃げた。
甘えたくなるから。
佐藤くんは、学生アルバイトで、アイドルしてる。
だから、可愛い顔してるし、
女の子泣かす言葉も知ってるし、
泣かせたって、なんとも思わない、、、、んだろうな、、、
電車の高架下、、、
そばを流れる用水路を見ながらひとり、なきべそ。
20歳から12年同棲してきた彼から贈られた言葉は、
『別れよう、彼女に赤ちゃんができた』
なにごとかと思ったよね、、、
後ろからむぎゅっとされてしまった、、、
やだ、、、
気がつかなかった、、、
彼の腕は強く、
今までなんともない顔してたのに、
急にオトコを感じた。
なにから???
会話、おかしくない?!って思った瞬間だった。
は?!
こんな風にあなたの腕に収まってて、後ろ向いたらどうなるかくらい、わかるわよ、、、
さすがに、わたしもそこまでバカじゃない。
彼氏が出て行って、初めて泣いた。
わんわん泣いた。
振り返った瞬間、口と口がぶつかった、、、
、、、んじゃ、ないのね、、、
するっと、舌を絡めてきた、、、
あ、わかってたのに、、、
ちゅ
若い彼は雨の中、わたしの手を握って走り出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。