第17話

17話
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2021/01/20 11:37
伊黒小芭内
伊黒小芭内
何用だ宇髄
貴様も怪我をしているのだろう
こんなところに来るな、療養していろ
宇髄天元
宇髄天元
まぁまぁ、それよりあいつはどうした
伊黒小芭内
伊黒小芭内
麗美の事か…
あいつは先刻帰った
宇髄天元
宇髄天元
は?帰ったってお前…
あいつは派手に怪我してんだ
歩けるような状態じゃ…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
しらん、それを俺に言うな
あいつは俺の話も聞かずに帰った
ただそれだけだ
他にどんな理由があるというのかね…
宇髄天元
宇髄天元
あいつにお礼言いに来たんだけどよぉ
いねぇなら仕方ねぇか、邪魔したな
またな
伊黒小芭内
伊黒小芭内
嗚呼
宇髄は帰って行った
伊黒小芭内
伊黒小芭内
しかし…どうしたものか…
まさかあいつに俺の過去を
話すことになるとは
思いもしなかった…
この口も…誰も知らないというのに…
似たもの同士…と言うやつか
調子が狂うな…全く
ひなた
ひなた
ねぇねぇ、今日は任務ないの?
伊黒小芭内
伊黒小芭内
嗚呼、今日はない
ひなた
ひなた
そっか、じゃあ
あなたのそばにいてくれないかな
伊黒小芭内
伊黒小芭内
何故だ…
ひなた
ひなた
何故って…部屋見に行ったらわかるよ
僕は鳥だから
肩を抱いてあげることは出来ないんだ
伊黒小芭内
伊黒小芭内
俺は鳥に言われるまま部屋まで走った
あなた
あなた
っ…グスッ…ごめんなさい…ごめんなさい…
お願い…もう叩かないで…
やめてよ…お父さん…
寝ているようだが
明らかに泣いていた。
夢をいているようだった
俺はそっとあなたを起こした
伊黒小芭内
伊黒小芭内
おい…起きろ
起きろ、あなた
それは夢だ、大丈夫だから、
あなた
あなた
おば…ない…
私…泣いて…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
嗚呼、そうだ、お前は
魘されてたんだ、幼い頃の夢を見て
あなた
あなた
今でも…夢に父さんが出てくる…
お前のせいで…お前のせいで…
母さんは死んだんだって…
何度も何度も殴ってくる…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
嗚呼…怖いなら泣け
辛いなら泣けばいい
俺がこうして慰めるのは今だけだ
あなた
あなた
っ…うわぁぁぁん!
なんで、なんで!
母さんは、愛してるって言ってくれたのに
父さんは私を嫌った、母さんが死んでから!
仲良しだった子にも親殺しだって言われた!
泣いたら負けな気がしたから…っ
私は…泣くのを辞めた…
父さんにも泣くなって言われたから…
なのに…泣いていいのかな…っ
伊黒小芭内
伊黒小芭内
…いいんじゃないか
あなた
あなた
私は幼いながらに
言葉の恐ろしさを知った…
暴力は…体が痛かった…
だけど…言葉の暴力は…
心が…痛いんだよ…
殴られた後…傷は消えた…
だけど…暴言の後は…心の傷は
癒えなかった…治らなかった…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
言葉に責任を感じ…
鬼殺隊に入り…鬼を狩り続ける
自分には、死にたいと言い聞かせて
でも実際は死にたくない…
違うか、あなた
あなた
あなた
…そう、なのかもしれない
ずっと死にたいって思ってた…
だけど…昨日までの遊郭の任務で
宇髄に助けてもらわなかったら
私は死んでた…
嗚呼…やっと死ねる…
そう思ったけど…すごく怖かった…
ひなた
ひなた
あなたが…怖がった…?
素直に…話した…
あなた
あなた
ひなた…君と出会ったのは
母さんが死んでからすぐだったよね
ずっと死にたかったけど…
やっぱり…怖いや…
なんでかな?死にたいはずなんだけどなぁ…
父さんに言われた通りにしないと
また怒られちゃうのに…はは…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
もう、親御さんのことは気にするな
その父親とやらは
お前の母親のことを心底愛していて
お前に八つ当たりをしたんだろう
母親もお前に生きて欲しかったから
命をかけてお前を守ったんだ
だから、お前は悪くない、
過去に囚われなくていいんだ
あなた
あなた
小芭内…でも…本当にいいのかな…
私なんかが生きて…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
いいんだ、
元柱達が言っていた
お前は自覚がないのかもしれないが
大勢の人を救っているんだと
実際先日の戦いでも
宇髄、煉獄、下級隊士をも守り
人々も守っている。十分じゃないか
あなた
あなた
でも…今まで…死ぬために生きてた…
私はこれからなんのために生きればいの…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
自分のために、生きればいい
あなた
あなた
自分のために…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
そうだ、自分のために、
死ぬためじゃなく
鬼殺隊として、一人の人間として
生きたらいい
俺の中に血が流れる限り俺は
汚いが、お前は違う。だから…
あなた
あなた
汚くなんかないよ…
小芭内が汚いのなら
私も汚い…だって…私達2人とも
" 死ね "って言われて
" 人殺し "だって言われたんだから
そしたら私だって、汚いから
だから、小芭内も、汚くなんてないんだよ
口の傷なんて関係ない
伊黒小芭内
伊黒小芭内
あなた…
あなた
あなた
初めて会った時…
酷いこと言った…謝る…ごめん…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
何をそんな過去のことを
気にしてない、だから謝るな
あなた
あなた
うん…ありがと
伊黒小芭内
伊黒小芭内
あなた、お前柱にならないか
あなた
あなた
…ならない
私は考えた。
だけどやっぱりそれは出来ない

小芭内のことはもう、信用してる
だけど…ほかの柱のことは
信用できるかと聞かれたら
それは出来ない

小芭内は私に…生きていいんだって
言ってくれた。
人殺しなんかじゃないって

だから心が落ち着いたのかもしれない
信用していいって思えたんだと思う。
簡単に信用しすぎかもしれない…

でも…本当に心から
人を信じることが出来たのは
初めてだから…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
ほかの柱には紹介しない
俺と、お前と、お館様の秘密にする
これならどうだ
他の奴らと関わる必要も無い
あなた
あなた
じゃあ、柱合会議は?
どうするっていうの…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
時間をずらして、話を聞くか
俺から伝える
あなた
あなた
…それなら…なってもいい
でも…上限を殺した今
無惨が大きく動き始めた…
もうすぐ鬼殺隊全員で戦うことになる…
柱になったところで…
すぐ死ぬと思うけれど…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
先のことはまだ考えなくていい
ゆっくり考えよう
とりあえず、柱になってくれてありがとう
あなた
あなた
うん…
伊黒小芭内
伊黒小芭内
今から、お館様のところに行くぞ
あなた
あなた
うん…
小芭内と鏑丸、ひなたと2人と2匹で
お館様の元へとやってきた

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