何これ…
(86話)
ベタベタして気持ち悪い。
ボンド…?
皆、急いでいる。
だって、0Pのまま終わるのは私を含めた皆、悔しいから。
君も充分煽って来てるよね…
心の中で、もう何度苦笑を繰り返した事か。
恐らく、騎馬を構成している4人。
三奈、切島くん、瀬呂くん、私は、全員が気付いただろう。
上から漂う、唯ならぬ殺気に。
爆豪くんの意志の強さには、いつもいつも驚かされる。
今日だって、唯の“1位”を狙う訳では無く、“完膚無きまでの1位”に執着している様にも見えた。
ある種病的なその執着は、どこか懐かしく感じる。
その感情が。
“懐かしい”という感情が、嫌いだ。
会場には、プレゼント・マイク先生の実況が響いている。
轟くんのチームが、1000万ポイントのハチマキを捕ったらしい。
この実況を聞いた爆豪くんがとる行動は__
煽り続ける物間くん達を必死で追い回すだろう。
物間くんが油断した所を爆豪くんが再び“翔んで”距離を詰める。
“円場”。と、そう呼ばれた男の子は威勢よく答える。
そして息を吐き…
ガン.
鈍い音をたてて、爆豪くんは空中で何かにつっかえた。
円場くんは、
「見えない壁だ!ざまーみろ。」
と、得意げだ。
それでも爆豪くんは
捕るのを諦めなかった。
物間くんの騎馬の後ろに回り、
バリッ.
と、マジックテープ特有の音をたて、
ハチマキを2本奪取した。
会場には、プレゼント・マイク先生の実況が響いている。
この時点でもう、通過は確実なのだが__
“完膚無きまでの1位”になる為に、まだ点を集めるらしい。
三奈は驚いている。
切島くんや瀬呂くんは呆れている。
けれど、それでも。
爆豪くんの意見の通りに皆動くようだ。
相変わらず、名前は呼ばないけど。
一気に間合いを詰め…
再びハチマキを捕った。
会場はワッと盛り上がる。
“完璧主義者”。
まさにその通りだ。
残り時間、20秒。
爆豪くんが向かうのは
二人は接戦を繰り広げている。
周りには、轟くんの物であろう氷。
それを爆豪くんは、またもやジャンプで飛び越えて。
けれど、爆豪くんが伸ばした手がハチマキに触れる事は無かった。
悔しがっている。
アナウンスは、心操くんも通過したことを告げていた。
こうして、通過チームが出揃って…
一時間の、休憩時間。
私は女子達と、
敗退した者、最終種目へ進む者、全てを忘れて楽しい時を過ごした。
𓂃◌𓈒𓐍次回予告
・昼休憩の話only
・微切芦含みます
・地雷の方はお気を付けを💁
・爆豪くんor切島くん side
※尚、この予告は大幅に変更される可能性が御座います。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!