(78話)
in放課後
溌剌とした声が耳を貫く。
それに元気良く返事をしたのは、紛れも無い私だ。
三奈ちゃん・お茶子ちゃん・梅雨ちゃん・耳郎ちゃん・透ちゃん・ヤオモモちゃん、そして、私の、計7人で帰路を辿る。
私はあと何回、この道を歩けるだろうか。
幾度と無く繰り返す日々の中、死は見えずとも近づいていた。実感は無くとも時計の針は進んでいた。
それを知りたくなくて、今日もまた笑顔を作り、内通者をする。
それを連合の皆や雄英の皆に知られてはいけない。
やっと見つけた、たった1つの生き甲斐。
それを見失わない様にと藻掻き乍ら今日もまた、必死に息を紡ぐ。
でも、
それでも、
紡いでも紡いでも、時間は流れて行った。
in体育祭1週間前
そして、1週間後に迫って来た体育祭。
各々が自主練習に勤しむ中、私は……________
シャーペン片手にノートと睨めっこする事早30分。
幾ら考えても思い浮かば無い。
シアンの香りを薄める方向で考えるなら…
ミントか過酸化水素水を混ぜる?
でもミントは個性せないし…
オキシドールはやった事無いから解らない…。
毒の生成方法と回復を応用すればできるかな?
睨めっこの相手をパソコンへと変えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。