in体育祭本番
(80話)
愈々今日、体育祭本番だ。
私なりに、努力はしたつもりだ。
深呼吸を何度か繰り返していると、頬に何か冷たい感触を感じて。
振り返ると爆豪くんが
ニヤリと笑っていた。
冷たい炭酸飲料を2本、手に持って。
爆豪くんは炭酸飲料を差し出してくる。
訳が解らず聞き返すと
「やる。」
って?くれるって事?
精一杯の笑顔を向け、礼を伝える。
心做しか、爆豪くんの頬が濃い赤に染まった気がした。
珍しく、気の抜けた様な返事に戸惑いそうになりながらも続く言葉を繋ぐ。
上鳴くんがフラフラと爆豪くんに近付いて行く。
終わったな。
あんまり煽り過ぎると爆豪くんは盛大な爆発起こす。
少し離れた所から見守る事僅か3秒。
BOOOOOOOOOOOOOM
耳郎ちゃん、上鳴くんの顔面にツボって呼吸困難になりかけてるよ…
賑やかで楽しくもあった。
けれど其の空気は、一瞬にして崩れた。
轟くんが緑谷くんに宣戦布告をした。
切島くんが止めても轟くんは張り合おうと辞めない。
それどころか緑谷くん迄いつになく強気な気がする。
ピリピリとした空気の中開会式が始まり、プレゼント・マイクのアナウンスと共に私達は会場へと爪先を向けた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!