第20話

操り人形
473
2020/09/05 00:02
(71話)
それからというもの、俺は何処か俺ではないみたいだ。
授業中、気が付けば見詰めていたり。
通学路や廊下で見掛けると、目で追ってしまったり。
恋なんて、馬鹿馬鹿しい。
そう、思っていた筈なのに。俺は恋に落ちていた。
だけれど、何も進展は無いまま3ヶ月間が過ぎ、
3年生へと上がった。

クラス…同じになれます様に。
願うだけ無駄だと解っていても、進む足はあの神社へと向かっていた。
そして、クラス発表の日。
学校の校舎の壁に張り出されたクラス割りを見て
人知れず歓喜する。
同じクラスだ…
何故だかなんて解っている。
教室に入る足取りがやけに軽い。
でもそんな事は束の間の夢で、
直ぐに現実へと連れ戻された。
気付いてしまった。
ずっと見詰めていたから。
あなたは、笹木を見ている。
その視線は、俺があなたに向ける視線と同じ。
【好意】を意味する、視線。
悔しくて、仕方が無かった。
身勝手だとは解っていても心はストッパーがとうの昔に外れていて…













































































あなたは、俺の個性に掛けられていた。
パペットの様に意のままに操られるあなたの目に光なんて全く入っていなくて。
自分の個性の恐ろしさを知った。
俺はその場から逃げ出して、暫くしてから個性を解いた。

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