お昼休みは一緒に寝るのが普通になった私と望。
「羊と眠るいばら姫」なんて言う噂が他クラス、他学年でも話題になり、2年1組には日を増すごとに人が集まってきた。
望が教室を出ていくと、すぐに私のスマートフォンに彼からのメッセージが届いた。
開いてみれば「屋上に避難! 透花も来てー」と書かれている。
私は2人に説明して、望のパンを持って屋上へ向かう。
屋上につくと穏やかな風が吹き抜け、青空の下で望は気持ちよさそうに寝転んでいた。
そう尋ねられて、私はやっと自分のお弁当を教室に忘れたことに気が付いた。
望に背を向けて屋上を出ていこうとすると、手首を掴まれて止められてしまう。
彼は2つあるサンドイッチのうちの1つを私の前に差し出してくれた。
私が受け取らずにいると、望は良いことでも思いついたように表情が明るくなる。
壁を背にして並んで座り、私と望はパンを食べ始める。
望は話していた私よりも先に食べ終わり、頭と頭をこつんと合わせてくる。
安心できるこの空間を守りたい。
この時間が無くならないように、待っていないで私も何かしよう。
意識が遠のいていく中、彼の声が耳元で聞こえた気がする。
目を開ければ、私はいつもの雲の上に立っていた。
けど、いつもとは違って望はどこにもいない。
それはまるで彼と出会う前の1人きりの世界で、私は急に虚しくなってしまう。
せっかく彼と思いが通じたような気がしたのに、全部なかったことのように感じる。
足元の雲は薄くなり、私は不安定な足場を失って下へと落ちていく。
けど、落ちる私の手を誰かが掴んだ。
引き上げてくれた彼は私をぎゅっと抱きしめ、優しく微笑みかけてくれる。
その瞬間、星が一段と輝き、私たちの周囲を舞うように駆けていく。
私の頬を涙が一筋流れ落ち、彼に手を伸ばそうとした時――。
夢から覚めて瞼を開けると、鈴城さんと桜庭くんがのんびりとくつろいでいた。
もらってばかりの関係を友達と呼べるのか、ましてや、対等ではない状態で親友や恋人だなんてあり得ない。
☆















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。