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第3話

うるさい隣人
19
2020/01/05 08:23
「ほら、泣き止んだだろ」

自然と止まっていた涙はもうすっかり乾いていた

…泣き痕はくっきり残っているが

「そうだね」

いま思い出せば初対面の人と言い合ってたんだよな

ん?めっちゃ感じ悪いよね!?

「ご、ごめんなさい!」

「え。なに、」

この人は何も感じてないのか

「だって初対面で言い合いってすごーく感じ悪いですよね」

「だからごめんなさい」

頭を下げると上から笑い声が聞こえた

「くそ真面目か!w」

真面目か…

「くそとか言わないでもらえますっ!」

「まず敬語とかゾワッとするわ!」

「もっとタフで~ね?」

タフってまだ会ったばっかりだし

「いや、ね?って首かしげても可愛くないから」

「まず会ったら自己紹介!常識でしょ?」

この人に常識何て求めちゃダメか?

「さっきまで口喧嘩してたのはどこの誰だか」 

「それはさっき謝ったでしょ~」

「ネチネチ言う男は嫌われるよ」

「ソーデスネ」

「片言っ!?まっ、良いや話進みそうに無いし」

何なんだこの人!
凄く…鬱陶しい
でも、会話が全く途切れない
こんな何でもない会話に少し楽しんでる私がいた

「私は千里!高校二年」

「ふーん」

「俺は優也、同い年だ」

同い年?
そのわりには何か幼い? 

「それじゃよろしくな千里」

出来ればよろしくしたくないという心境は胸の中に閉じ込めておこう…

「まあ、よろしくゆ、優也」

優也がにこりとこちらを見てくる
顔が熱く感じたのはきっと 
暑くなり始めた季節のせい…だよね?

私の病室にはうるさい隣人がいるよう
でも、毎日が楽しくなりそう 

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