__________________________________
桜の木の下。
花びらの吹雪が視界を取り囲む。
私、天瀬あなたの目の前にいるのは……
ね?今の会話、聞いた?
私、ついに教師になりました!
………ま、1年程浪人したけど←
結果オーライよ!
なんだかんだで楽しみだったから、
昨日の夜は眠れなくてさ。
それで遅刻しちったってわけ☆(((
そしたらどこかで見覚えのある傷男が
正門の前で殺気を放っているじゃない。
パワハラで訴えよっな。←
とか思ってみる。←←
まぁ、いろいろ問題はありそうだが、
とりあえずおはぎ……ゴホンゴホン不死川先生に
職員室へ案内される。
とまぁこんな感じで、
他の先生方に挨拶を済ませ、
することもないので
おニューのデスクでぼーっとする。
ちなみに、不死川先生とは
背中合わせの向かいのデスク。
わりと近くで、
少し安心したとかしてないとか
したとかしてないとか。←
くっそ……
こいつやっぱおはぎだ←
とか思ってみるけど、
それは私の心が高校生の時から
変わってないことを意味してるだけだって、
ほんとは気づいてたり。
____________________________________
【2年前atキメツ学園】
不死川side
先日あった追試で、天瀬がまた赤点を取りやがった。
この調子であいつ、ほんとに教師になれんのかよ…
とか思いながら、補習を伝えるためあいつを探す。
数十分探し回った末に天瀬を見つけたのは、
本来立入禁止の屋上。←
イヤホンで何か聞きながら
座っているアイツの横には
屋上の鍵が置いてあり、
職員室から盗んだものであると確信する。
ほんとにこいつは、問題児以外の何者でもないわ。
てか、なんでコイツは急に顔が真っ赤になってんだ。
そうなだめると、天瀬は顔を手で抑えながら
「やっばいびっくりした」を繰り返しつぶやいている。
ちなみに今は昼休憩。
そして残りの授業は自主参加なので、
コイツはこのままここにいる気なんだろう。
そういえば自分も次の時間は空いていることを思い出し、
久々にのんびりとしようかと天瀬の横に腰を下ろす。
しばらく沈黙が続いた。
天瀬は何か考え事をしているようだし、
俺は少し寝ようとまぶたを降ろしかけた。
急に何を言い出すのかと思えば、
謎の宣言をしてきた天瀬。
顔をそむけているため、
どんな表情をしているのかは分からないが、
ここからみえる小さな耳は
ほんのりと赤く染まっていた。
今のコイツの学力的に、
現役で教員免許が取れるとは思えない。
早くて、1年後かぁ……
その時には、俺もお前に——————
変な考えが頭によぎった俺は、
首を横に振り、何も無かったことにして
目を閉じた。
___________________________________
はぁぁぁぁ!?何やってんの2年前の私ぃぃッッッ!
それってもう告白宣言じゃないのよ
さぁもうねぇはぁ!?←←
大丈夫だ、天瀬あなた。
前から決めてたろ?
ここに戻って来られたら、
この気持ちを、不死川さんにって。
まさかこんな唐突にとは思わなかったけども。
落ち着いて、ゆっくり………
.
ムシャクシャしながら席を立ち、
ドスドス校長室へ向かう。
この気持ちをちゃんと伝えられるのは、
もう少しだけ、先のお話。
〜番外編Fin〜
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。