無一郎と有一郎が死んだ。
仲のよかった青年からその事を聞かされた。
当然すぐには信じられなくて。
でも、何日経っても、
二人が私の前に現れることはなくて。
それが現実を物語っていた。
二人は、鬼という生き物に殺されたらしい。
鬼は元人間で、
その始祖から血を分け与えられることにより鬼になる。
鬼になると日の光を浴びることができず、
また、人を喰わねばいきていけない。
無一郎と有一郎は、その鬼に襲われた。
たった一晩のうちに、殺された。
有一郎は遺体が残っていたものの、
無一郎はそれすら残っていなかったという。
おそらく、鬼に喰われたのだと思われた。
嘘だ、ありえない、信じない、
いくらそう思っても、二人は戻ってこない。
例のもう一人の青年は鬼を恨み、
「二人の仇をとってくる」と行ったまま
二度と帰ってこなかった。
無一郎達が死んでから、3週間の事だった。
たった3週間で、大切な人達がみんないなくなった。
両親が亡くなった時でさえ、
こんな風に絶望を感じなかった。
憎かった。
でもそれ以上に、
他にもこんな思いをしている人が
沢山いるという事実に
心が押し潰されそうだった。
村の長老から
「鬼殺隊」
の存在を聞いた。
古から存在する、政府非公認の組織だという。
人々を守るため、鬼を狩る組織。
もう誰にも、こんな思いをして欲しくない。
誰にも、私と同じ思いはさせない。
私は、鬼を狩って人を守ることを決めた。
🌟Thank you for reading🌟
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。