その日の夜
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やっぱ楽しいわ。
あのおはぎ教師よりも、安心感っていうか。
リラックスして話せる。
気付くといつもよりスローペースで歩いていた。
急に話を止める玄弥。
足も止め、
あたりを睨むように見渡している。
玄弥の真似をして
同じようにあたりを見渡していたが、
訳のわからない事を言いつつ
急に黙った彼の方に目を向ける。
そして、
私の視界に入ったのは。
意識を失い、倒れている友達の姿だった。
彼の首には注射が刺さっている。
それには、
ドス黒い謎の液体が入っていて。
恐怖と怒りと不安と、
様々な感情が頭を支配する。
これを刺したのは誰?
今も近くにいる?
次は私が…?
怖い。
玄弥が死ぬ?
私も殺される?
怖い。怖い怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
.
突如、音も立てずに現れた例の詐欺師。
そいつの姿を目で捉えた途端、
恐怖で身体が固まる。
詐欺師の手には、
玄弥に刺さっているそれと同じもの。
確信犯だ。
私の声を震わせるのは、
ただ純粋に恐怖なのか。
それとも、
親友を傷つけられた怒りなのか。
そう言いながらその詐欺師は、
手に持つ注射を反対の手で弾く。
今ならコイツの視界に私はいない。
ダッシュでコンビニへ戻って、
若葉さんや店長に……
そう思って走り出した瞬間。
詐欺師に腕を掴まれる。
強い。力が、強い。
このままだと、
今度こそほんとに誘拐される。
至近距離に顔を寄せてきた。
無意識に詐欺師を突き飛ばす。
その勢いで奴の腹に蹴りを入れようとする。
が、あっさりかわされて。
バランスを崩した私は地面に転がる。
足と首に激痛が走る。
足は、転けた時に捻ったのか。
首は、それと同時に
この詐欺師から手刀を食らった。
薄れゆく意識の中、
詐欺師のニヤついた顔が視界に入る。
いよいよ意識を手放した後、
こちらへ向かってくる足音に
気付くわけがなかった____
🌟Thank you for reading🌟
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。