第24話

くろいろ 🔴
149
2020/05/04 00:27

逃げなきゃ。逃げなきゃ。

津波が来る....!


俺は莉乃の手を引いて無我夢中で走る。

はぁはぁと莉乃の荒い息遣いが聞こえる。


なんで...昨日まで...さっきまで...こんなこと...!



「ゴゾゾゾゴ....」



!?
莉乃
拓哉っ!ヤバイよ!波がっ
拓哉
え....!?








「バシャン...ゴポゴポ...!」


















目の前が真っ黒になった。












神様は不平等だ。












罪なき人間に死を見せつける。















しかもこんな時に。












楽しみにしてたのに。











なんでかな。






た.....や







たく.........や













拓哉っ!




誰かが呼んでる。








莉乃か...?










いや違う






この声は....。
恭平
拓哉君!!!!
目を開けると白い壁。


消毒液とゴムのような物が混ざり合う匂い。


ここ知ってる。









病院...?







恭平
よかった…目が覚めた…。
この人は…。


昨日も今日も会った人。


大学一年生の…




松江 恭平さん…。




莉乃のお兄さん…。
恭平
大丈夫?…先生呼んでくるね…!
 ・・・・・・・・・・。


俺は…俺は…










─っ!
拓哉
待って!俺…俺…!なんでここに…!何があったの!?莉乃は…!!!
やっと思い出した。



あの時…海で…!!!
恭平
…………莉乃は…。
恭平
…………。
え…まさか…。

違うよね…。

まさか…〇〇でないよね…?

ねぇねぇ…?
恭平
莉乃はまだ見つかってない。
拓哉
…………。
そっか…。


予想していた最悪の結末…ではなかった。


でも、俺が…俺は…俺の…。
恭平
地震があったんだ。震度6。
津波も来た。海沿いだけだから…海にいた人…三十人…君を含めた三十人だけ。
全員行方不明。

え…。



なんで俺だけ…。







グニャリ





視界が歪む。

物が重なって見える。

あぁ…。
恭平
拓哉君っ!



-----続く-----

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