次の日、私は桜と話さなかった。
桜も私と話さなかった。
家の時計をみると今は3時。
私はあることを思い出した。
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やっぱりいた…。
公園のブランコに桜が座ってる。
あそぶ約束をしたのだ。
私はおそるおそる話しかけた。
桜は驚きぎみに振り返った。
長い髪が揺れる。
とても気まずかった。
…………!
そうだよ。
なんて言えるわけない。
私は首を横に振った。
…………は?
何なのコイツ?
意味わかんない。
私のなかで何かがプツンと切れた。
いつの間にか泣いていた。
止まらないよ。
そんな言い方ある?
私は走り出した。
家まで全速力。
嫌い。
嫌い。
嫌い。
桜も自分も嫌い。
大嫌い。
そうだ…。
いいこと思いついた。
見返せばいいんだ…。
魔法伝説の主人公みたいに…
絶対…
許さないから。
-----続く-----
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!