美しい水の音。
蝉の鳴き声。
俺は今、浄土ヶ浜に来ている。
波に飲み込まれた海とは違い、エメラルドグリーンに輝く水面がとても綺麗。
莉乃もうっとり見とれていた。
莉乃が顔を赤くして俺をまっすぐ見つめる。
どうしたんだろう…?
悪い記憶が蘇る。
俺の長い片思いが終わった瞬間。
はァ……………。
思わずため息…。
……………………。
え…!
えぇ………!
俺のため息は何だったの!?
俺は莉乃の肩を掴む。
あ…これは…もしかして…。
告白…?
だとしたら…、あのお決まりのセリフは…!
言わせないっ!
俺は思わず大声を出す。
周りの人の視線が俺達に集まる。
俺は心を落ち着かせる。
そして莉乃を見つめて言った。
周りの人がおお〜!と歓声をあげる。
まだ莉乃は返事してないのに。
俺の顔は真っ赤。
湯気が出そう…いや、もう出てるかも…
莉乃が俺に抱きつく。
暖かい。
そして莉乃は俺の耳元でつぶやいた。
-----続く-----
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。