6月23日 夕方
プルルルルップルルルルッ
家電がなる
俺は受話器を取る
受話器越しからまおの母の声が聞こえる
ドクン
心臓の音が早くなった
(やっぱり、覚えてないのは何か理由があるのかな)
まおの母が恐る恐る口を開ける
(え…)
まおの母は言った
まおは、俺が引っ越した数日後に事故に遭ったと、その時に頭を打ったから、脳や記憶に異常があるかも知れないと医者から言われたこと
しかし私生活には何も異常は無かったそれに加え、何故か性格が少し明るくなったらしいことを聞いた
そしてまおの母は言った
(そっか…まおは俺を忘れてしまったのにはちゃんと理由はあったんだ…)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!