トントンッ
俺のデスクを叩かれ、顔を上げると。
横に微糖の缶珈琲を置いてくれる。
俺は書類を片付け、帰り道を歩いていた。
音楽を聴きながら少し紅い空を見ていた。
ふと目に入った。
…え?
…猫山と………
…角名先生?
俺は咄嗟に角に隠れてしまった。
何で抱き合ってた?
え?好きなのかよ。
何だよこのモヤモヤは。
なんか…イライラする。
もう一度見たところで、何もなかった。
もうそこには誰もいない。
家に…入ったのかよ。
付き合ってたり…すんのかな。
いや、俺には関係ないこと。
帰ろ。
次の日とか、何故かアイツに会う度目を逸らしてしまった。
俺にもよく分からない。何故かムシャクシャする。
数日経って、猫山に言われて気付いた。
俺…引かれたなぁ…感じ…悪かったよなぁ…
ちょっとショック。
あ、まぁ…友達…みたいなもんだし。
その次の日。
松川さんは少し好きな人というのを強調して言う。
響く声も、
美しい黒髪も、
華奢で綺麗な、
高い身長も、
俺に見せてくれる笑顔も。
俺は一人だけ浮かぶ人物がいたんだ。
やべ、めんどくさい人来た。
す、鋭い…。
めんどくさい人達だ、逃げたい。
早く逃げたい。
思いを伝えたら
今が変わりそうで怖い。
もし、フラれたら。
もし、嫌われたら。
俺はきっと立ち直れない。
もし、嫌われたら?
そうだ。
きっと俺は後悔するから。
告白してフラれるより、
このまま時が過ぎて、
アイツが誰かと一緒にいる方が、
何倍もきっと後悔する。
あいつに。
告白してやろうじゃねぇか。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。