「え、これかわいい! いーなー!」
私がそういうと、波奈がよってきて、「え、ほんとだ! かわいい!」と言ってくれた。
「でしょ? ほしい!」
「あー、お揃いで買わない?」
「いーねー! そうしよ!」
話していたストラップを手にとって、かごにいれる。
「颯太たちはなんか買ったのかな?」
「どうなんだろう? 行ってみようか?」
「ねーね、なに買ったの?」
私が聞くと、颯太は持っていたシャーペンを見せてくれた。ブルーの颯太らしいペンだ。
「んー、まだ買ってないけど俺はシャーペンを買うつもり。前橋は知らないけど」
「俺はこのサッカーボールのキーホルダー」
「えー、いいじゃん! かっこいい!」
波奈は目をキーホルダーを手に取り、きらきらさせた。
「でしょ?」
「波奈ちゃんたちはもう買った?」
「買ったよ」
「じゃ、さっき決めた観覧車。行こっか」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。