「あーあ、結局やるのかぁ……。ごほうび欲しいなぁ……」
私は大きくため息をついた。部活で練習がないときにやれ、と言われているハードなトレーニングがあるのだ。
「がんばれー! ほら、オレもやってあげるから!」
彼が肩に手を置く。それだけでなんだか安心する。
「はぁ、疲れたぁ……」
私は肩で息をして、同じ運動をしたはずなのに全く息が切れていない彼を見た。
「でも、バレー部ってこんなの自主練でやらされるんだ。まぁ支部大会まで行くぐらいだから当たり前かぁ……」
「颯太……、なんで、ハァ、そんなに、ハァ、息、ハァ、切れて、ハァ、ないのよ……」
「まぁ持久力は自信あるし?」
「自主練だから誰にも誉めてもらえないんだよなぁ……。やる前も言ったけどごほうび欲しいなぁ」
「っ……!」
彼の唇が、私の唇に重なる。胸がドキドキした。あの時以来。
「そ、颯太っ! 私息切れてるのぉ!」
「なぁに、ごほーびほしいって言ったの茜だよ?」
「んむぅ……! これがごほうびなの?」
ちょっと肩をツンツンする。
「え、なにごほうびにならなかったなんて言わないよね? 俺、彼氏だよ?」
本当にそういうとこ、颯太はずるい。なんて口に出す日はきっとないけれど。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。