第21話

好きだよ。
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2021/09/04 10:37
「あーあ、結局やるのかぁ……。ごほうび欲しいなぁ……」

私は大きくため息をついた。部活で練習がないときにやれ、と言われているハードなトレーニングがあるのだ。

「がんばれー! ほら、オレもやってあげるから!」

彼が肩に手を置く。それだけでなんだか安心する。



「はぁ、疲れたぁ……」

私は肩で息をして、同じ運動をしたはずなのに全く息が切れていない彼を見た。

「でも、バレー部ってこんなの自主練でやらされるんだ。まぁ支部大会まで行くぐらいだから当たり前かぁ……」

「颯太……、なんで、ハァ、そんなに、ハァ、息、ハァ、切れて、ハァ、ないのよ……」

「まぁ持久力は自信あるし?」

「自主練だから誰にも誉めてもらえないんだよなぁ……。やる前も言ったけどごほうび欲しいなぁ」


「っ……!」

彼の唇が、私の唇に重なる。胸がドキドキした。あの時以来。

「そ、颯太っ! 私息切れてるのぉ!」

「なぁに、ごほーびほしいって言ったの茜だよ?」

「んむぅ……! これがごほうびなの?」


ちょっと肩をツンツンする。

「え、なにごほうびにならなかったなんて言わないよね? 俺、彼氏だよ?」

本当にそういうとこ、颯太はずるい。なんて口に出す日はきっとないけれど。


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