第11話

好きだけど。
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2021/06/21 11:00
「ずっと一緒にいたいって思ったのは、茜ちゃんが初めてだった。よかったら、僕と付き合ってください」

「っ……」

心臓がこれでもかと言うくらいうるさかった。やはり、驚いた。

「ありがとうっ……、すごく嬉しい……!」

とりあえず、それしか言えなかった。口から出てきたのはそれだけ。どうしよう。OKしちゃっていいのだうか。

「……その、私……」

握ったこぶしが震える。本当に言ってしまっていいのだろうか、なんて思っていたら始まらない。

「ずっと前から、結城くんが好きでしたっ……! 私でよければ、ぜひ……」

「本当に……! ありがとう……!」

結城くんが少しだけ歯を見せて笑った。こんな笑顔を見られるのは私だけだと思うと、
やはり胸が色めき立つ。

「ぎゅうってしていい?」

「え?」

「だめ?」

ちょっと上目遣いになった。かっこいいのに、かわいいところもあるとか、反則だ。

「も、もちろんいいよっ!」

「ありがとう」

彼が笑って、腕を私の体に巻き付けた。私も、彼の体に巻き付ける。温かい。

この温もりは、一生物だ。彼の腕の中は、すごく落ち着く。

「これからよろしくね。大好き」

「っ……! ありがとう、嬉しいっ……! 私も、大好き……!」

颯太くんは落ち着いているのに、私は彼の一言ひとことにドギマギしてる。恥ずかしい。

窓から見える空は、"カップル"になった私たちを祝福するようにきれいだった。

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