「ずっと一緒にいたいって思ったのは、茜ちゃんが初めてだった。よかったら、僕と付き合ってください」
「っ……」
心臓がこれでもかと言うくらいうるさかった。やはり、驚いた。
「ありがとうっ……、すごく嬉しい……!」
とりあえず、それしか言えなかった。口から出てきたのはそれだけ。どうしよう。OKしちゃっていいのだうか。
「……その、私……」
握ったこぶしが震える。本当に言ってしまっていいのだろうか、なんて思っていたら始まらない。
「ずっと前から、結城くんが好きでしたっ……! 私でよければ、ぜひ……」
「本当に……! ありがとう……!」
結城くんが少しだけ歯を見せて笑った。こんな笑顔を見られるのは私だけだと思うと、
やはり胸が色めき立つ。
「ぎゅうってしていい?」
「え?」
「だめ?」
ちょっと上目遣いになった。かっこいいのに、かわいいところもあるとか、反則だ。
「も、もちろんいいよっ!」
「ありがとう」
彼が笑って、腕を私の体に巻き付けた。私も、彼の体に巻き付ける。温かい。
この温もりは、一生物だ。彼の腕の中は、すごく落ち着く。
「これからよろしくね。大好き」
「っ……! ありがとう、嬉しいっ……! 私も、大好き……!」
颯太くんは落ち着いているのに、私は彼の一言ひとことにドギマギしてる。恥ずかしい。
窓から見える空は、"カップル"になった私たちを祝福するようにきれいだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。