「あ、波奈おはよ!」
「おはよ、波奈ちゃん」
「あ、おはよ~」
私と颯太が手を振ると波奈は笑顔で手を振り返してくれた。
「あれ、彼氏と一緒じゃないの?」
「あ、ビックリさせたかったから遅めに来てって言ったんだ。たぶんもうすぐ来るんじゃないかな」
「了解。ね、じゃあさ、ヒントちょうだい?」
私は波奈の肩をつつく。颯太も興味はあるようで、こっちを見ている。
「ヒント? うーん、おんなじクラスだよ?」
「いやわかんない……」
「まぁいいや。もうすぐ来ると思うから」
波奈はそう言って満足そうに笑った。最近、波奈の笑顔を見るたびに思う。なぜ、私の恋人は彼女ではなく私を選んだのだろう、と。
「波奈ちゃんは最初、何乗りたい?」
きょとんと目を丸くして颯太を見る。彼女は颯太のこういうところに慣れていないのだ。
「私?」
「波奈ちゃん。茜は何乗りたいか知ってるから」
「私はジェットコースターが良いかなぁ。ちなみに茜はなんなの?」
「茜はメリーゴーランドが良いんだよね?」
颯太は私をチラッと見た。波奈もこっちを見る。
「そう。颯太とよく遊園地来てるから把握してるんだよね」
「お待たせ、波奈、結城、藤岡さん」
「あ! 全然大丈夫だよ! 私が遅めに来てって言ったから!」
「……」
私のバッグを持ってくれていた颯太の手から、私のバッグが落ちた。
「ごめん、茜、あんまりビックリしたから人のなのにバッグ落としちゃった……」
「だ、大丈夫だよ……」
私たちの前に現れたのは、颯太の親友で同じサッカー部の前橋颯斗だった。私たちと同じクラス、というのも当てはまる。
「え、なにそんなにビックリした?」
波奈が笑いながらそう言った。私たちはぶんぶんと首を振る。
「それ、オレも思った。そんなにびっくりするものなんだって」
「そりゃあ、ね?」
颯太がそう言って私を見る。私は「ね?」と笑い返した。
「まぁいいや。行こっ!」
「そうだね、行こ!」
·*"*о.,.·*"*о.,·*"*о.,.·*"*о.,·*"*о.,.·*"*о.,·*"*о.,.·*"*о.,
最後までお読みいただき、ありがとうございます🎶
思ったより長くなりそうです笑
あまり進められてなくてごめんなさい🙇♀️💦
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!