第2話

素敵な結城くん
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2021/06/05 12:00
「はああっ……」

「おはよ、藤岡さん。どうしたの、ため息なんかついちゃって?」

いきなり意中の彼が話しかけてきた。正直なところ、びっくりした。

「ひやっ! 結城くん! ううん、何でもないよ?」

「あのね? おれ、そんな鈍感に見える? 藤岡さんが悩んでることぐらいわかるよ?」

少し近づいてきて、彼は胸を叩いた。少し近づかれただけでドキドキするなんて、やっぱり私は「恋」をしている。

それにしても、やっぱり結城くんは素敵だ。波奈が好きになるのもうなずける。

「あは、ばれちゃった? まあ、なんにもないことはないんだけとね……」

「僕でよければ聞くよ?」

「ありがと。でも、大丈夫だよ。悩んでるって言うか、部活嫌だなぁって思ってただけだから」

ちょっとだけ意識して、可愛く笑ってみた。波奈には敵わないって分かっているのに、ついつい気を引きたいと思ってしまう自分がいる。

「あー、分かる。部活があると別に嫌じゃないけど憂鬱ゆううつになるんだよね」

結城くんが笑った。結城くんの笑うのは、本当に見ていて飽きない。かっこいい。

「そうなんだ! わりとスポ根なイメージあるからちょっと以外だなぁ」

自分の声を聞いて思った。波奈としゃべるときとトーンが少し高い。ついでにテンションも高い。

「マジで? 何で? 運動そんなに好きじゃないよ?」

「そうなの? でもすごい運動できるじゃん?」

「まあ、出来ないって言ったら藤岡さんにじゃあ私はどうなるの、って言われそうだから出来ないとは言わないでおく」

今度の笑顔はなんだかいたずらっぽい。もう、私ったら。考えていることがストーカーだ。結城くんに知られたらもう生きた心地がしないだろう。もしかしたら恥ずかしすぎて火を噴いているかも知れない。

そんなことを考えているうちに、人気者の彼は呼ばれたのか、いつの間にかいなくなっていた。

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