---ホシ---
本当に...
最初見た時、僕は夢でもみているのかと思った。
大好きなあなたが
笑って、
自己紹介をして
みんなと話しをしている。
僕に気づいても、表情が変わることは無い。
僕が挨拶をしても、「はじめまして。」
ほんとうに、
僕のこと忘れてしまったの?
僕はこんなにも鮮明に覚えているというのに。
飲んだココアの温かさも
ブランコで待つ寒さも
抱きしめた柔らかさも
毛布にくるまった時の匂いも
目の前で倒れた瞬間も
僕にはまだ、新鮮で、鮮明で、
まだまだ好きという気持ちが溢れて、
どうしようもなくてたまらないのに。
ユナという蓋を使って
封じ込めていたこの気持ちが
ぐるぐるして、
ハニの彼女というあなたが
ハニヒョンに任せたのは僕なのに...
僕のはずなのに.............
胸が....苦しい............。
一刻もここから離れて、なにか他のことで頭をいっぱいにしたかった。
そうじゃなきゃ、あなたのことばかり考えてしまうから。
僕はダンスの練習室に向かった。
無我夢中で、がむしゃらに踊っていた。
気づいたらもう夜中で。
足も、手も、どこもかしこも悲鳴をあげていた。
リビングに戻って水を飲んでから寝ようと思った。
リビングの電気はついていた。
きっと誰かが消し忘れたんだろう。
そう思って、中に入った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。