スニョンさんに抱きしめられている。
そう気づくまで少し時間がかかった。
なぜだか彼の腕の中は
懐かしい気がして、
匂いも、声のトーンも、抱きしめる強さも...。
私はスニョンさんの何かを知っているような、そんな気がして...
スニョンさんの腕の中から抜け出すことは出来なかった。
数分後にペリっと絆創膏を剥がされた。
なぜ、私はこの人に言い訳をしようとしているの?
なぜ貴方はこのキスマークをみて、
悲しそうな顔をするの..............?
私の中で「なぜ」がたくさん生まれた時、
スニョンさんが話し始めた。
スニョンさんは話をしながら泣いていた。
私はそっと抱きしめた。
その体は大きいけれど、すごく小さくて....。
スニョンさんは、私の胸の中で静かに泣いた。
ユナさんではないことは気になるけど...。
スニョンさんが落ち着いた頃、もう既に朝方だった。
私はそう答えていた。
彼といることに安心感と懐かしさを覚えてしまっていた.....。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。