第104話

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2020/03/03 03:05
スニョンさんに抱きしめられている。






そう気づくまで少し時間がかかった。











なぜだか彼の腕の中は

懐かしい気がして、

匂いも、声のトーンも、抱きしめる強さも...。











私はスニョンさんの何かを知っているような、そんな気がして...










スニョンさんの腕の中から抜け出すことは出来なかった。










数分後にペリっと絆創膏を剥がされた。










あなた

あっ...これは.........!!!




なぜ、私はこの人に言い訳をしようとしているの?

















なぜ貴方はこのキスマークをみて、




















悲しそうな顔をするの..............?


































私の中で「なぜ」がたくさん生まれた時、


スニョンさんが話し始めた。


































ホシ
ホシ
僕は....数年前にライブツアーで行った先の日本で、ある女の子に出会ったんだ。
ホシ
ホシ
初めは、公園で歌う彼女の声を聞いて、この声すごく好きだと思った。
ホシ
ホシ
出会って、短い間だけど、たくさんの話をした。その子が、ココアが大好きだったんだ....。
ホシ
ホシ
僕は最初一般人として彼女と接していて、空港で目が合った時はすごく驚いたんだ....
ホシ
ホシ
なんでここにいるんだろうって思いと、この出待ちに囲まれている状況どうしたらいいんだろうって思った。
ホシ
ホシ
僕と目が会った瞬間に彼女は走り去ったんだ。僕は追いかけたかった。でも、ファンがいる。すぐに好きな子を追いかけられない。みっともないと思った。
ホシ
ホシ
メンバーが励ましてくれて、僕は彼女を探しに空港内を走り回った。
ホシ
ホシ
でも、僕じゃなかった。最初に見つけたのは...。
ホシ
ホシ
どうして僕は彼女が見つけられないのか、自分にイライラした。同時にそのメンバーに頭を撫でられる姿を見て僕は腹が立った。
ホシ
ホシ
自分はとことん何も出来ないと気づいた。
ホシ
ホシ
なのに彼女はそんな僕のことが好きだと言った。
ホシ
ホシ
僕ももちろん彼女が好きで好きでたまらなくて...遠距離だけど、頑張ろうって思うことが出来たんだ....。
ホシ
ホシ
その時に出てきたのがユナ。僕の元カノ。今は付き合ってない。
ホシ
ホシ
でもそのユナが彼女を傷つけたんだ...。
ホシ
ホシ
走って行った彼女は横断歩道の真ん中でトラックに轢かれた。彼女は重症だった。僕はあと一歩が届かなかったんだよッ......!!
ホシ
ホシ
なんで....どうして.........っ!!!
ホシ
ホシ
僕は人を好きになったらその人を不幸にさせる気がして.....っ!!!
ホシ
ホシ
僕はっ.........ぼくは.............っ!!!
スニョンさんは話をしながら泣いていた。










私はそっと抱きしめた。



















その体は大きいけれど、すごく小さくて....。



















あなた

大丈夫、大丈夫....。

あなた

きっとその人は恨んだり、嫌いになったりしないと思いますよ。

ホシ
ホシ
.....っ!
あなた

自分のことを一生懸命追いかけてきてくれたスニョンさんのこと、嫌いになんてなるはずがないと思うんです。

あなた

たとえ、届かなかったとしても。

あなた

スニョンさんが芸能人であることを知った後なら、尚更そう思うと思います。

あなた

その彼女さんは、幸せですね。

ホシ
ホシ
っ!!!!!!!
ホシ
ホシ
あり....がとう..............
あなた

いいんですよ。泣きたい時は沢山泣いてください。







スニョンさんは、私の胸の中で静かに泣いた。


















ユナさんではないことは気になるけど...。


















あなた

その子は幸せですね

ホシ
ホシ
え...
あなた

こんなに思ってくれる人がいるなんて。

ホシ
ホシ
........ありg.....ありがとう.............






スニョンさんが落ち着いた頃、もう既に朝方だった。

















あなた

じゃあ、私お部屋戻りますね。

ホシ
ホシ
また....今夜0時に...ここで話しない...?
あなた

........いいですよ。











私はそう答えていた。

彼といることに安心感と懐かしさを覚えてしまっていた.....。


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