-猪狩side-
そう考えると作間と仲良くなったのも俺が財布忘れたからなのか…
作間と俺は同じクラスではあるがグループが違って滅多に話したことがなかった。俺は一応一軍に所属していたがまぁガリ勉である俺に対してやはりあっていなかったんだと思う。
作間は端で本を読んだりと楽しそうにしていた。そんな作間が羨ましくていつも目で追っていた。そして…恋をした。
まぁでも作間と話す機会なんてないと思い、諦めつつもほんの少しの可能性に期待していた。それがまさか…ほんとに話せるなんて。そこから即意気投合して今では学校で一番仲のいい友達だ。そして今、作間の家で勉強している。
…未だに俺は作間に自分の気持ちを伝えてない。やはり世間の目が気になってしまうのもそのひとつ。
…いつかはこの日が来るとは思ってた。いやだ、聞きたくない。
…やってしまった。これは…告白したも同然じゃないか。…あーあ、これで楽しかった作間との生活もお別れか…
…夢かと思った。まさか…両思いだったなんて。
…これで俺のリミッターは切れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。