カナヲがおにぎりを手渡す
あれから2週間。
いつものようにお見舞いに来た伊之助が、
炭治郎の様子が違うと言い出した
そのため、朝から2人が見張っているというわけだ
ストッパーが居なくなった伊之助は暴走するかと思いきや、むしろ以前よりも大人しくなっていた
悲しみは、人をかえる
強く純粋な怒りは
手足を動かす揺るぎ無い原動力になる
それはそうと、伊之助もカナヲもあなたを恨んではいなかった
あなたにそうせざるを得なくした、社会を恨んでいた
あなたの想いに気づけなかった、自分を恨んでいた
自分は未熟だと嘆きはしなかった
もっと強くあれた筈なのに、そうしなかった怠惰を後悔していた
人は、歪んだ怒り恨みを人に向ける
その点では、2人はとてもまっすぐだった
炭治郎の目が、わずかに開いていた
酸素マスクの向こうの口が、ゆっくりと小さく言葉を紡ぐ
2人は、炭治郎の目の前で泣き続けた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。