第2話

過去の記憶2
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2021/01/16 11:00
……眩しい。
いつの間にか眠っていたようだ。
you(過去)
……ここは
そう、呟いてみる。
声なんか、帰ってこない……筈なのに。
youの父親
起きたか?
you(過去)
……誰?
youの父親
私は、君の新しい父親だよ
you(過去)
新しい、お父さん?
youの父親
ああ、そうだ
you(過去)
私を、拾ってくれたの?
youの父親
ああ、颯がな
you(過去)
は、やて?
颯(過去)
父さーん、あの子起きた?
颯(過去)
……あ、起きてる!
you(過去)
あなたが、はやて?
颯(過去)
うん、そうだよ!
目の前に現れたのは、昨日も見た男の子だった。
男の子にしては少し長い薄紫色の髪を揺らし、部屋に入ってくる姿が見えた。
you(過去)
あなたが、拾ってくれた?
颯(過去)
うん!すごく寒そうだったから……
you(過去)
……ありがとう
暖かい気持ち。いつぶりだろう。
こんな気持ちになったのは。
颯(過去)
それより父さん、この子どうするの?
youの父親
もちろん、うちで引き取るさ
颯(過去)
本当?じゃあ、俺に妹が出来るの?
youの父親
ああ、そうだ
颯(過去)
やったぁ!
you(過去)
……妹?
颯(過去)
うん!俺は、今日から君のお兄ちゃん!
『お兄ちゃん』
その言葉を聞いた瞬間、一年前のあの記憶がフラッシュバックした。
嫌だ、嫌だ、嫌だ……
もう、私を、見捨てないで……!
you(過去)
ハァッハァッハァッ……
苦しい、辛い、悲しい。
見捨てられたくない。
颯(過去)
ど、どうしたの!?
颯(過去)
と、父さん……!
youの父親
大丈夫、深呼吸するんだ
you(過去)
(し、ん、こきゅ、う……)
you(過去)
スー……ハー……スー……ハー……
you(過去)
ふぅ……
youの父親
落ち着いたか?
you(過去)
落ち、ついた……
颯(過去)
でも、何で急に……
you(過去)
お兄ちゃんを、思い出しちゃった
you(過去)
お兄ちゃん、私を、捨てた
嫌な思い出を我慢して、途切れ途切れに話す。
ねえ、君は、私を、見捨てる……?
you(過去)
はやて、は、私を、見捨て、る?
上手く、話す事が出来ない。
また見捨てられそうで、怖かった。
もう、誰にも裏切られたくなんてないから。
颯(過去)
ううん、見捨てないよ!
颯(過去)
俺は、絶対に君を見捨てない!
you(過去)
ほん、と?
颯(過去)
うん!絶対!約束!
そう言って、はやては私の頭を撫でてくれた。
ああ、そうだ。
私は、こうしてほしかったんだ。
愛して、ほしかったんだ。
you(過去)
やく、そく……
そう言えば、孤児院にいた時、皆とも約束した。
『また会おう』って。
もし、また会える日が来たのなら、会いたいなぁ。

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