笑いながら莉奈が指さしたのはヒゲの生えた変なメガネ。
冗談半分で莉奈の前でくるりと回ってみる。
雪翔くんが指さして大爆笑をしている。
そんな指さして笑うほど面白かった??
みんなで笑っていると幸せな気分になる。
鏡で自分の姿を確認するも、そこまでおかしくなくてそのことにまたまた吹き出してしまう。
女性用のウイッグを被る雪翔くんにすぐさま莉奈がカメラを向ける。
少し可愛こぶったポーズをして、莉奈の写真に収まった。そんなポーズも似合うくらい金髪のウイッグは似合っている。
そう言ってさっき椛乃がかけていたメガネを渡す。
莉奈が大声をあげて笑っている。
金髪に黒髭はおかしいよ。
メガネについてる鼻はコアラみたいでますますおもしろい。
女の人なのに男、みたいな?
いや、実際男なんだけど。
***
なーんて過ごしているうちにすっかり時間も過ぎ、結局アクセサリーなどをちょこちょこ買ってもらった。
どっか寄っといていいよ、という莉奈にどうしようかとなってしまう。
莉奈の前では聞けなかったことを聞いてみる。
幼なじみのふたりだからこそこういう葛藤があるのだろう。
確かに幼なじみに告白すれば、もし断られた際、気まずくなるに違いない。とはいえ、ふたりは両思いなのだ。
中学のときからずっとふたりともあと一歩というところで言わないんだよね。
痺れを切らして椛乃が言ってやろうかなんて思ったことは一度や二度じゃないけどやっぱり自分の口から言わなきゃダメだなと思い今日までやってきている。
当然のように言ってくる雪翔くんに心の中で笑いながらからかってみる。
実際いるっちゃいるけどそれは雪翔くんだしね。
ウソはついてないから大丈夫でしょ。
これで告白するかな、莉奈に。
なーんて淡い期待をしながら前を向くと
楽しそうに歩いている男女の姿が。
あぁ、忘れるわけがない。
男のほうは大好きな柊木先輩で、女は瑠璃さん。
休みの日にデートに来るってことは付き合い始めたのかな。
お似合いすぎて椛乃には無理だったのかな、と落ち込んでしまう。椛乃、諦めようと思ったのに、あの日から1ヶ月も経っているのにまだ柊木先輩を諦められてないの…??
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!