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第17話

あいつはSide春樹
くっそ…。

壁に行き場のない思いをぶつけた。

毎日俺のクラスにやってきていた後輩の小林椛乃にテストで100位以内に入ればデートしてくれと頼まれた。そして、勉強を教えてくれとも。

女嫌いの俺がそんな頼みを聞くなんて自分でも不思議だった。

入試は最下位ぐらいだったと以前ぼやいていたこともあって無理だろうと言う気持ちもあったんだろう。でも、あいつはちゃんと100位以内に入ってやってきた。

あいつと行った遊園地は思いのほか楽しかった。

でも、いつも笑顔で元気なあいつが少しおかしかった。

いつも通り笑顔なのだが、時折寂しそうな切なそうな表情を浮かべる。その表情が俺の胸の中を嵐のように掻き回した。

そしてデートを境に毎日来てたあいつがクラスにやってこなくなった。

あんなに鬱陶しかったはずなのに。
なんで胸がざわつくんだ?
なんで俺がイラついてんだ?
神田優希かんだゆうき
春樹くん、荒れておりますね〜
なんてヘラヘラ笑っているのは親友の神田優希。
柊木春樹ひいらぎはるき
うっせぇ、黙っとけ
そして昨日、神林と文化祭の買い物のためにショッピングモールを歩いているとしばらく見ていないあいつがいた。隣には見たことのないそれなりに整った顔立ちのしている男もいた。

口を開けたら意味わかんねーことしか言いそうになくてあいつの顔しか見ることができなかった。

あいつは一回も顔を上げることなく目を伏せていたけど。

その上、あいつは隣の男が彼氏だとか言ってくる。

つい1ヶ月前まで俺のことが好きだっつってたのに。

急いで逃げようとするあいつを追いかけそうになったけど、神林が「次どこ行こうか?」という言葉になぜか後ろ髪ひかれながら次の店に行った。

あいつのことを思うとむしゃくしゃする。

あいつは最初から他のやつとは何か違う気がした。
変にポジティブで俺まで笑顔になってしまう、そんなやつだ。

今はあの隣にいた男にあの笑顔であの可愛らしい屈託ない声で「好き」だなんて言っているんだろうか。

気分が悪くなってしまう。
柊木春樹ひいらぎはるき
…俺だけに言えばいいんだっつーの
こぼれ落ちた自分の言葉を復唱し、思わず目を見開いた。

いや、俺今なんつった?

“俺だけに言えばいいんだっつーの”

は?俺…、まじか…。
柊木春樹ひいらぎはるき
はっ…
自嘲気味に鼻で笑った。

今になって気づくなんて俺はバカだと思う。


──笑顔が可愛いキミが好きなんだと。