テスト当日──。
莉奈がそう言ってくれて莉奈に微笑んでみせたが、やっぱり緊張して表情が固い気がする。
いてもたってもいられなくてカバンから教科書を取り出し、勉強し始めた。
強気で行かなきゃ!!
4日間のテストはいつもよりできている気がする。
***
テスト返しの日──。
ふたりでひきつった笑いを浮かべた。
***
返ってきたテストを持ち、柊木先輩のところへと急ぐ。
教室にいた柊木先輩の隣には可愛らしい女の人がいて…。柊木先輩は女嫌いとして有名なのに楽しそうに話している。
胸が痛いや…。
優希先輩に呼ばれてやってきた柊木先輩は相変わらずの仏頂面で…。さっきまで女の人と楽しそうに話していたのがウソみたい。
椛乃の前ではぜんぜん笑顔見せてくれないくせに。
泣きそうになるのを堪えていつも通りを心がけた。
せっかくいつもよりいい点数とって100番以内に入って。
柊木先輩が何かを言いかけたみたいだけど柊木先輩の背中を軽く叩いて顔を出したのはさっきの可愛い女の先輩。
「ねぇ、柊木くん。校舎案内してもらっていい??」
可愛らしい声を出しているけれど、椛乃に突き刺す視線はとても鋭くてこの人も柊木先輩が好きなんだとわかった。
戸惑い気味な柊木先輩だけどふたりは廊下を出てどこかへ消えてしまった。
神林瑠璃さん、か。
名前も可愛くて何も勝ち目がないんじゃないかと思ってしまう。
キレイな茶髪の髪はストレートで笑顔も可愛いし、声も可愛い。少しだけ見えた細い指の爪には綺麗にネイルが塗られていて、それがとても女の子らしかった。
自分の指を見ると切りそろえられた何もケアしていない爪があった。
自信がなくなってしまった。
椛乃はとぼとぼと教室への長い道のりを歩いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。