前の話
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『あー!!アミダメだろそんなことしちゃ!ごめんなさいは?』
〈いやいや!キャハハ!〉
2歳の娘の子育てをするグク。
ようやく子供を寝かしつけ寝室に向かい仏壇の前に座る。
『あなた、アミ言うこと聞いてくれないよ。どうしたらいいかな?』
もちろん奥さんからの返信はなし。
『あなたがいたらまだ楽だったのかな笑』
悲しい笑顔が顔から出る。
『あなた俺アミをいい子に育てられるかな?反抗期来たらどうしよう。女の子の流行りとかついていけないよ。』
すべて“あなたがいたら”で話が進む。
『でも、あなたは空から笑ってるんだろな“パパしっかりしてよ~笑”って』
『1ヶ月後は結婚記念日だねどこ行こっか?』
夫婦になってあと1ヶ月で3年目。
今までの2人の写真を見ながら
『あなたが俺を支えてくれた。あなたが1番だった。なのに…』
全てが狂った6か月前。
『戻ってきてよあなた。3人で幸せになろうよ。』
何回もあの日がなければそう考えた。
消したくても消えなかった。
奥さんと寝ていたベッドは奥さんがいた時のまま。
『会いたい。けどまだそっちには行けないや。』
次会うときはよぼよぼのおじいさん、おばあさんかもしれないけどその日まで少し待ってて。
必ず会いに行くから。
〜完〜
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。