前の話
一覧へ
次の話

第1話

その場所で待っていてほしい。
682
2020/03/30 00:43
『あー!!アミダメだろそんなことしちゃ!ごめんなさいは?』
〈いやいや!キャハハ!〉
2歳の娘の子育てをするグク。
ようやく子供を寝かしつけ寝室に向かい仏壇の前に座る。
『あなた、アミ言うこと聞いてくれないよ。どうしたらいいかな?』
もちろん奥さんからの返信はなし。
『あなたがいたらまだ楽だったのかな笑』
悲しい笑顔が顔から出る。
『あなた俺アミをいい子に育てられるかな?反抗期来たらどうしよう。女の子の流行りとかついていけないよ。』
すべて“あなたがいたら”で話が進む。
『でも、あなたは空から笑ってるんだろな“パパしっかりしてよ~笑”って』
『1ヶ月後は結婚記念日だねどこ行こっか?』
夫婦になってあと1ヶ月で3年目。
今までの2人の写真を見ながら
『あなたが俺を支えてくれた。あなたが1番だった。なのに…』
全てが狂った6か月前。
『戻ってきてよあなた。3人で幸せになろうよ。』
何回もあの日がなければそう考えた。
消したくても消えなかった。
奥さんと寝ていたベッドは奥さんがいた時のまま。
『会いたい。けどまだそっちには行けないや。』
次会うときはよぼよぼのおじいさん、おばあさんかもしれないけどその日まで少し待ってて。
必ず会いに行くから。
                                           〜完〜

プリ小説オーディオドラマ