連絡を受けてから美都は、今まで以上にマサヤの虜になった。
食事の時も、風呂に入る時も、マサヤの歌を聞くようになった。
そして、ある日。
そう答えてスマホを置いたものの、耳にはイヤホンを指したまま。
ワイヤレスイヤホンを髪で隠し、マサヤの歌声を聞いている。母親は気づいていない。
美都は、無言で食事をとった。
それから美都は、ほとんどの時間をマサヤの歌声と過ごすようになっていった。
家でも、学校でも。
眠りにつく、その瞬間までも……。
※
──1週間後
毎日学校から帰ると、美都は自室にこもり、マサヤからの返信を確認するようになった。
初めて連絡がきた日から、1日に1度メッセージを送っている。
マサヤからの返信が来るのは、その日のうちか次の日。そんな交流が続いていた。
本当は、自分だと言ってしまいたい。
だけど美都は、そうしなかった。
もし自分1人だけが再生回数を伸ばしていると知ったら、マサヤは傷つくかもしれない。そう考えたのだ。
『友達にも
宣伝してもらえると
嬉しいな?』
『友達にも』
マサヤの軽い一言は、友達のいない美都の心に影をさした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。