私が海人と出会ったのは、中二の頃だった。
その頃から、海人はモテモテで。
手が出せない状態っていうのかな?
もう、周りを見れば女子ばっか。
私はそんな中友達を作ることも出来ずに、
ただただ学校に通ってた。
海人は、友達もすぐできてて、
いいなぁ...とも思いつつ、
あんなふうにはなれないな、と
諦めつつ。
でもそんな時、
海人が話しかけてくれた。
その頃は嬉しいよりも、ビックリして。
だって、あの海人だよ?
クラスの中心にいるような。
私に声をかけなくても、
友達には困らないような。
海人にとっては、なんでもない出来事かもしれないけど、
私にとっては重大ニュースだった。
彼はそう言った。
見たこともないような
素敵な笑顔で。
それから私は、海人を目で追うようになって。
いつの間にか、好きになってて。
彼のおかげで、クラスの中心人物にもなれた。
友達も増えて、
楽しい学校生活が送れるようになった。
私に学校が楽しい場所だってことを教えてくれたのは、
紛れもなく海人だ。
告白しよう。
そんなことを思い始めたのは、
中2が終わる頃。
そんな時には皆ともうちあけて、
海人とはよく話すようになっていた。
付き合ってるの〜?と、
聞かれることもしばしば。
海人は別に〜?と返して、
ね?と同意を求めてこっちをむく。
その顔がたまらなく好きで、
その度に胸がキュンとなって。
遂に海人が、
「俺は付き合いたいけどね」って。
その時に、「私も!」
って言って、私達は付き合うことになった。
それでこの前、「別れよ?」って。
言っちゃった。
辛いけど。苦しいけど。
好きな人には、笑ってて欲しい。
好きな人には、私みたいに苦しんで欲しくない。
そんな思いが、勝ってしまって。
ついに言ってしまった。
海人はそれを全くとめずに、
「ごめん。」って。
辛いよ。
せめて、突き放して欲しかった。
「もう嫌い」って言って、
きっぱり振って欲しかった。
でも彼の口から出たのは同情で、
好きだなって、思っちゃった。
ダメなのになぁ。
あなたちゃんに対するダメな気持ちが、
溢れ出てくる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。