第10話

10話
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2019/06/10 11:28
私が海人と出会ったのは、中二の頃だった。

その頃から、海人はモテモテで。

手が出せない状態っていうのかな?

もう、周りを見れば女子ばっか。

私はそんな中友達を作ることも出来ずに、

ただただ学校に通ってた。

海人は、友達もすぐできてて、

いいなぁ...とも思いつつ、

あんなふうにはなれないな、と

諦めつつ。

でもそんな時、

海人が話しかけてくれた。



海人
海人
お前、名前なんて言うの?
藍
え...?
その頃は嬉しいよりも、ビックリして。

だって、あの海人だよ?

クラスの中心にいるような。

私に声をかけなくても、

友達には困らないような。

海人にとっては、なんでもない出来事かもしれないけど、

私にとっては重大ニュースだった。






藍
藍...だけど...
海人
海人
ふーん、藍、よろしくな!
彼はそう言った。

見たこともないような

素敵な笑顔で。

それから私は、海人を目で追うようになって。

いつの間にか、好きになってて。

彼のおかげで、クラスの中心人物にもなれた。

友達も増えて、

楽しい学校生活が送れるようになった。

私に学校が楽しい場所だってことを教えてくれたのは、

紛れもなく海人だ。

告白しよう。

そんなことを思い始めたのは、

中2が終わる頃。

そんな時には皆ともうちあけて、

海人とはよく話すようになっていた。

付き合ってるの〜?と、

聞かれることもしばしば。

海人は別に〜?と返して、

ね?と同意を求めてこっちをむく。

その顔がたまらなく好きで、

その度に胸がキュンとなって。

遂に海人が、

「俺は付き合いたいけどね」って。

その時に、「私も!」

って言って、私達は付き合うことになった。

藍
そんなこと、今思っても仕方ないのになぁ。
それでこの前、「別れよ?」って。

言っちゃった。

辛いけど。苦しいけど。

好きな人には、笑ってて欲しい。

好きな人には、私みたいに苦しんで欲しくない。

そんな思いが、勝ってしまって。

ついに言ってしまった。

海人はそれを全くとめずに、

「ごめん。」って。

辛いよ。

せめて、突き放して欲しかった。

「もう嫌い」って言って、

きっぱり振って欲しかった。

でも彼の口から出たのは同情で、

好きだなって、思っちゃった。

ダメなのになぁ。

あなたちゃんに対するダメな気持ちが、

溢れ出てくる。

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