あなたside
ツンデレの廉くんか…見せてくれない顔、まだあったんだ。
どうしたら見せてくれるのかな…?
家にて、
リビングに疲れて帰ってきたじんはソファに座った
キッチンに向かおうとするとじんは急いで手首を掴んだ
私はじんに引き寄せられて隣に座った
自転車にひかれそうな私を抱き寄せて助けてくれたあの時か…
どういう意味なのか私にもよく分からない
じんは立ち上がると何も言わずにキッチンへ消えた
どうして突然そんなこと聞いてきたんだろ
やっぱり疲れてるのかな
私は自分の部屋に戻った
じんside
もう少しこのままでいたい…そう言ってくれてとっても嬉しかった
久しぶりに俺のものになった気がした
でももうあなたは俺のものじゃないから
俺は気持ちを抑えて、辛いけど、離した、
キッチンで鍋の中を掻き回していた時、あなたが後ろに何かを隠しながら近寄ってきた
俺の言葉をさえぎるようにあなたはそう言うと手に持っていた何かを俺に差し出した
俺は鍋の火を止めて受け取った
あなたが一生懸命話しているのに、俺は涙を流しながら強く抱き締めた
あなたはポケットから自分のハンカチを出すと俺の涙を拭き取ってくれた
俺はあなたの両肩に手を置いて、おでこをあなたのおでこにくっつけた
質問攻めしてもあなたは顔色一つ変えることなく涙を拭き取ってくれた
一生懸命伝えても通じないなら言うしかない
おでこを離さずそのまま唇を狙った
一瞬のキスじゃない
少し長めのキス。じゃないともうキスなんて出来ないから
あなたはゆっくり俺の腕を払った
あなたはそのまましゃがみ込んで両手で胸を抑えていた
呼吸が荒くなっている
自分にも言い聞かせるように言ったけど
あなたは収まらない
その調子その調子って褒めながらも
落ち着かせていった
落ち着いてきたなって思う頃には疲れて俺の膝に眠っていた
お姫様抱っこであなたのベッドの上にそっと寝かせた
頭を撫でて部屋をあとにした
キッチンで再び鍋に火をつけてかきまぜていた
絶対に気持ち溢れたらダメだって思ってたのに
何してんだよ俺、、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!