奏side
視界が揺れそうになる。
いや、少し揺れた。
「痛くない」。
痛くなんかない。
自分に言い聞かせ、呼吸を整える。
“鬼灯”のお出ましか。
気力と根性だけは、1丁前だもんなぁ。
本当は今すぐにでも倒れたい。
痛い。だけど、ここで泣いたらかっこ悪い。
小さな声でそう呟く。
きっと誰にも聞こえてなかっただろう。
今立ってるのは、殆どが気力と根性だ。
鬼灯でも、私は私だもんな───────。
梵 陽向は、ナイフを自分に向けて大きく振り上げ
そして、振り下ろした。
────────あなたのニックネームを下敷きにして。
ナイフはあなたのニックネームの背中に、縦に刺さった。
当の本人はもう、きっと抜け殻の状態だろう。
するとあなたのニックネームは…
満足気に微笑み、目を閉じたんだ。
珍しく焦るもふが急いでスマホを取り出す。
急いでスマホを取り出し、
とにかく早くと、グループラインにメッセージを。
『あなたのニックネームが倒れた。
○○街のあの少し大きな白い一軒家。』
それだけ送ってスマホを閉じ、あなたのニックネームに
駆け寄って様子を見る。
流石に駆け寄ればこの脚は痛む。
思わず声を上げてしまう痛みが私を襲った。
こんな傷…あなたのニックネームに比べれば。
白い靴下はもう右だけ真っ赤に染まっている。
未だに血は止まることを知らない。
かれこれ5分も出血状態。
もふはじゃぱぱと電話をし始めた。
きっと場所と現状況を説明してるんだろう。
右足に力が入らない。
多量出血?
気力を保て、私。もう少しだから。
じゃぱぱ、続けて皆が入ってくる。
あなたのニックネームの病態に響く。
座り込んでいる私に向かってどぬくが言う。
哀しげな表情をしている。
平然と、冷淡と離す梵。
私があなたのニックネームの元に移動しようとすると、
力が抜けた。
世界が横に傾く。
だが、想像とは裏腹に、直角になる前に止まった。
どぬくに支えられ、何とか倒れずに済む。
睨みを含んだその目で2人が見つめる。
涙のたまった目で訴える様に尋ねる、るな。
その言葉は、その場にいる誰もの心に止まった。
──────────梵を抜いて。
微かにサイレンの音が耳に届く。
安心と安堵、不安が入り交じった感情。
声も出ずに、微かに小さな声で
「良かった」と呟く。
大丈夫…私は死なないか、ら───────。
アンケート
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見ます
76%
推しじゃなきゃ無理
9%
誰かによるわ
13%
そもそもこの物語に拒絶反応
1%
投票数: 790票
※サイコパスじゃないです
※許してくれ(切実)
※寝起き語彙力死んでます
※普段お世話になってるのでです。
それではお疲れ様です