既視感を含んだ声のそのフードの男性が
答える。
するとスタスタとこちらに歩いてきた。
警戒心を露わにし、
フードの男性を見つめる。
「陽向」その名前に本能的に反応する。
きっと、「梵くん」だろう。
すると、「陽向」はフードを外し、顔を見せた。
黒い髪。
整った顔にかかった、白いメッシュ
思いついた様に手を叩き、
こちらに向き直ってくる。
首を傾げて尋ねてくる梵くん。
なんだか…マイペースだな。
私が知ってる「梵くん」とは違う感じがする。
まぁ、「梵 陽向くん」に変わりは無いのだろうが。
…確かに。
なんで今まで思わなかったんだろう。
「付き合ってよ」その言葉が頭をループする。
何が起きたのか理解するのに時間がかかった。
「当たり前じゃん」とでも語る眼差しで
こちらを見てくる。
ほんの少ししかない勇気を絞りきって
微かに小さくそう答える。
からぴちのみんなを貶された様で少し
ムカッと来た為、
まともに喋れるようになったコミュ力で
言い返す。
「GPS」「盗聴」。
何やら物騒な話がサラッと口から発せられる。
当の本人は、平然としている。
私が起きた気でいた8時。
今がその8時。
「努力」を気安く語らないで。
前の気弱な私とは裏腹に、今の私は
勇気があり、何でも言える気がする
キッパリ言ってやった。
ため息混じりにその場を去り、
そのまま彼はどこかへ向かう。
あんなに言ったのは初めてだ。
胸の高鳴りがまだ収まらない。
私の目の前には、銀色の、光るもの。
鉄製で、光をよく反射し、尖ってる。
つまりは刃物を持った「梵くん」がいた。
※あ、ちゃんと飛びました
※そのままのコメントです
※「とり」「パレット」