ゆあんside
どぬくさんと奏が付き合ったらしい。
今みんなで奏の部屋にいる。
当の本人は凄く照れているが、
嬉しそうで何より。
そんな嘘をついて病室を出る。
静かに、廊下の1番奥の部屋へ向かう。
『あなたの名字 あなたの下の名前 様』と書かれた部屋のドアを開け
中に入る。
まだ目を覚ましてないあなたの下の名前が居る。
持ってきたカーキのブレスレットを取り出し、
あなたの下の名前の細くて弱々しい腕に通す。
小さくそう言って、
あなたの下の名前の手から自分の手を離す。
椅子から立って、
怪しまれない為にも早く帰る。
洞察力が凄すぎる奏と、
オーラが見えるどぬくくん。
見事、どぬくくんは自分で
恋を叶えることが出来た。
奏の顔が赤いのなんて初めて見た。
耐えきれなくなったようで、
布団をバサッと自分に被せている。
ちっちゃく抵抗する声をあげてる。
もしかして……ツンデレ?
やっぱ俺達はこれが一番だよな。
この関係を崩したくないのはある。
けど、絶対に──────────
あなたの下の名前だけは渡せない