何回か話したことあるからか、
問い詰めても私は答えないことを覚えていたのか、不死川玄弥は身を引き寝室へと向かった。
私はそれを確認してから、
力を加減して机を殴る。
こんな感情、何年ぶりだろう。
いや、1度だけ怒ったな……不死川と初めて会った日に…。それ以来、か……。机は無事じゃなかった。
殴ったところは凹み、ヒビが入っている。
こんなに感情に振り回されるのは、久々で疲れるな。
私も寝室へと入り、布団に潜って眠れないのに眠りについた。眠らないんじゃない、眠れないんだ……。
落ち着かない。寝てる間に誰か来て私の頸を斬るんじゃないか、そんな不安が溢れていた。
なんでだ。
眠る必要なんて、ないじゃないか。
今まで、さほど寝なくてもなんともなかった。
それが今ではどうした。
何故、寝なくてはいけないと思っているんだ。
そしてなぜ今、私は不死川がいれば眠れると思っているんだ。おかしいじゃないか、何故そこで不死川が出てくるんだ。
あの頭を撫でてくれる暖かい手がほしいと、思ってしまっているのだろうか。だとしたらそれは、どういう事なんだ。不死川と任務に行けない寂しさと関連があるのだろうか。
わからない。
なぜ私は今、こんなにも考えているのだろうか。
わからない。
なぜ、不死川に会いたいと思っているのだろうか。
わからない。
確かめなくては。
私は寝室を出て、不死川玄弥の部屋に来た。
私の言葉に、どうしたんだ?といいだけな顔をする。
不死川の弟ならば、きっと同じなのだろう。
不死川玄弥はおずおずと私の頭を撫でる。
不死川玄弥には、心当たりがあるらしい。
不死川に興味があって、暖かいと感じる。
こんな気持ち、私は知らない。
私は何も、教わっていない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。