第40話

あってたまるものか。
1,103
2020/03/06 15:28
今のところ、変な動きはない。
来る人来る人、みんな普通のヒトだ。
もぶ
もぶ
可愛いねぇ、お嬢さん
貴女
貴女
ありがとうございます
もぶ
もぶ
兄ちゃん、逞しいねぇ!!ちゃんと姉ちゃん守るんだよ!
不死川玄弥
不死川玄弥
は、はい
すると、1人の女性が顔面蒼白で
私の所へ駆け寄ってきた。
もぶ
もぶ
は、遥……!?遥ァ!!!
貴女
貴女
え?
もぶ
もぶ
遥、遥……無事でよかった……
貴女
貴女
人違いですよ?
もぶ
もぶ
おいお前!しっかりしろ!遥じゃないだろ!!!
旦那であろう人が、その人を私から引き離す。
もぶ
もぶ
すいません、娘が最近消えてしまいまして……
貴女
貴女
消えた、んですか?
もぶ
もぶ
はい…、近頃衣服屋の娘だけが消えてしまう事件があるんです……。遥……娘も、つい数日前……
数日前…最近だな……。
数日前は雨だった…。消えた衣服屋の娘、雨の日に消えているのか?
何か他に条件が……。
貴女
貴女
娘さんの容姿はどのような?
もぶ
もぶ
…え?む、娘は…綺麗な髪で…、赤い髪留めが良く似合う子です………。ちょうど、お嬢さんがつけているような…
衣服屋の娘、赤い髪留め、あと他に聞き出せ…。
条件を揃えて、私にだけ鬼が向くように…!
もぶ
もぶ
あ、あの日!
貴女
貴女
もぶ
もぶ
消えたあの日、娘はお気に入りの番傘をさして提灯持って私を迎えに来る予定だったんです!
貴女
貴女
番傘?
もぶ
もぶ
はい、白い番傘です!
提灯に、白い番傘…。
………あれ…………?
不死川玄弥
不死川玄弥
……姉さん?
貴女
貴女
あ、なんでもないよ
もぶ
もぶ
お嬢さんも、雨の日は気をつけるんだよ。衣服屋の娘はみんな、雨の日に消えてしまうんだ
貴女
貴女
わかりました、ありがとうございます
雨の日は絶対条件か……。
白い……番傘、手に入れないと……。提灯はあった気がする。店仕舞いして、不死川玄弥と話を整理する。
貴女
貴女
条件は色々あったな
不死川玄弥
不死川玄弥
はい。衣服屋の娘、赤い髪留め、白い番傘、提灯、雨の日……。あ、あと!
貴女
貴女
ん?
不死川玄弥
不死川玄弥
その日はみんな、袴じゃなくて…着物を着ていたそうなんです
貴女
貴女
着物?
不死川玄弥
不死川玄弥
はい、藍色の着物に白い帯だそうです
貴女
貴女
………!!!!
嘘だ、そんなはずない。
不死川玄弥
不死川玄弥
雪柱様?
ありえない、あってたまるものか。
貴女
貴女
不死川玄弥
不死川玄弥
不死川玄弥
はい
貴女
貴女
……私は、鬼の正体を知っている
不死川玄弥
不死川玄弥
……えっ?
貴女
貴女
これは、私しか斬れない鬼らしい…
不死川玄弥
不死川玄弥
それって……
私は店から顔を出し、空を見上げる。
雨は……どれくらいだ……?
貴女
貴女
竈門炭治郎、宇髄、いるんだろう
竈門炭治郎
竈門炭治郎
はい!
宇髄天元
宇髄天元
どうした
屋根の上から2人が降りてくる。
貴女
貴女
鬼が攫う条件がわかった。次の雨の日はいつだ
宇髄天元
宇髄天元
は、雨?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
……次は、3日後だと思います
貴女
貴女
そうか、それまでに全部用意する
私が店に入ろうとすると、宇髄に腕を掴まれる。
貴女
貴女
なんだ?
宇髄天元
宇髄天元
なんでそんなに焦っているんだ
貴女
貴女
は?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
たしかに、焦りの匂いがします
貴女
貴女
……焦っていない。これは、私が私がやらなければならないと思っているだけだ
宇髄天元
宇髄天元
理由があるみてぇだな?
貴女
貴女
ない
私の声は、自分でも驚くほど怒りがこもっていた。
貴女
貴女
……………頼む……、何も……聞くな…
宇髄の手は、思いのほかあっさりと腕からはなれたから私は店に入った。

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