~なつside~
よっす!なつでーす。
これから迷惑な暴力団を討ちにいく!
作戦はさっきみんなでたてた。…つってもほぼいるまがたてたんだけど。
…いや!一応俺も案だしたし!!
当たり前のように却下されたけど。
くそぉ…俺の工場爆破計画がぁ……
まぁ、ひさっびさの喧嘩だ。
絶対勝ってやる!!
呆れたように注意してくるいるま。
つうか別に、俺は喧嘩好きじゃねえからな。
俺が喧嘩をするのは、許されないことを平気でするような奴が大っ嫌いだから。
…暴力団とかは特にだ。
普通に暮らしてるだけなのに、理不尽にひどい目に合うなんて最悪だろ?
俺は、そんなことをする奴らを全員、ぶっ倒したいだけ。
そう思って喧嘩をちらほらしてたら、いつの間にか強くなってた。
…すげぇな俺!!
ま、いるまに勝てないのが癪だけど……
いるまには何年たっても勝てない。
そりゃ、いるまの才能と努力はすごいけど…
…それでもずっと負けっぱなしは悔しいんだよ!!
LAN、ねぇ…
一体どんなやつなんだか。
喧嘩っ早いヤンキーが多くて有名な隣町を全て一人で一掃したって有名だしな。
戦ったら負けは確定だろう。
それでも、一回くらいは姿を見てみたい。
…ただ、喧嘩が好きなやつなんかな。
それとも…俺らと同じように、悪いやつを失くしたいだけなのかな。
まあいいか。こさめが謎なのはいつものことだし。
忘れてた。そういや喧嘩すんだっけ。
息を殺して、廃工場の入り口に立つ。
俺らはそれに無言で頷く。
そう言って、重い扉を一気に開けた。
…そこには。
暴力団が、全員倒れていた。
かろうじて気を失っていない者もいるが、立ち上がる気力も無いらしい。
いるまもわかってないのか…
すると、暴力団の一人が俺らに気付いたのか、真っ青な顔になった。
言っている意味がわからない。
それでも奴らは、怯えたような、嫉妬したような表情を向けてきた。
次に放たれた言葉を、俺はすぐに理解ができなかった。