~いるまside~
今日は、水曜日。
…覚えているだろうか。
決戦!…いや、決戦ってもんじゃないわ。
最近校内で迷惑になっている喧嘩グループを討つ日だ。
そのグループにとりあえず、放課後に廃校になった工場に行くように紙で伝えた。
うちのグループは、基本女と子供には手を上げない。
…そもそも何もしてない奴には何もしねぇけど。
でも、人に迷惑をかけるようなやつは正すように、討つ。
それを中学のときから俺らはやってきた。
……それでも、暴力を行うのは気が引けるし、何年やっても疲れる。
主に精神的に。
心配そうな顔で見つめてくるらん。
いや顔に出てたのかよ。あんま俺、表情に出ないって言われるタイプなんだけどな…
観察力も鋭いんだな。
コテンと首をかしげてる…可愛い。
……いや可愛いってなんだよ!前からだけどおかしいぞ俺!!
らんは何故か納得したような、、、決心したような表情になった。
…心配ない?…俺、心配してたのか?
たかが迷惑をかけてるグループを討つだけなのに?
突然手を握ってきた。
らんの手、あったか…いやそんな場合じゃないだろ!
それでも、なぜか安心する。
なんからん、こんな頼りがいあるような奴だったんだな。
転校したときは弱そうだとか思ったけど…
ほんと、優しい奴なんだな。
俺は周りの奴らに「なんでもできる天才」だと言われがちだ。
まぁ確かに、勉強でも運動でも特に困ったことは無いし、喧嘩も負けたことないけど。
だから、俺のことを心配してくれるやつはほとんどなかった。
今までは、そんなの関係ないと思っていたのに。
…嬉しい。
頬が思わず緩む。
運動も勉強もできて、性格も良いとかなんなんだよ…!
その瞬間、らんは少しにやっとした表情になった。