???side
俺は、母にそう告げた。だけど母は、とても…
悲しそうだった。
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地下への階段を降りて行く。カツカツと1段1段音がなる。
その言葉を聞いて、母は言葉に詰まる。
母から言われたその言葉には、今までとは違う、重みのある声だった。そして、母の見ている視線の先には─
初めて見れば、誰もが思うほどに酷い、とても悲惨な状態にある。
俺はそんな舞緋都を見て、自身の血の繋がりはない母を退け、牢屋の鉄格子を開く。
舞緋都 side
俺は1人、地下の牢屋の中で、孤独感に襲われる。母からは何も告げられず、ここにいろと言われた。それからずっと、ここに居るのだ。
けど、俺は何年もここに居るが、食事なども、本も与えられなかった。
ずっと独り、ここで過ごしていた。
そんなある日、俺のいた牢屋の鉄格子が開いた。
俺は牢屋の開いた方を見たが、"眩しすぎる光"のせいか何も見えなかった。
俺の身体からは血が流れ、辺りにはいくつかの肉塊が転がっていた。
そんな俺に向かって伸ばす手のひら。
俺はその手を掴んだ。
??? side
手を…握ってくれた。弱くではあったが、ちゃんと温かさはある、小さい手。
まだ幼い舞緋都にこんな仕打ちをした母を、憎くも思ったが、それは直ぐに消えた。
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舞緋都はいつの間にか眠っていたようで、起きない舞緋都を見て死んだのかと怖くなった子供達は、颯希に助けを求めた。
少し微笑んだ舞緋都は珍しく、颯希やアキも、驚いていた。
普段笑わない彼は、墓の前に立ち、手を合わせた。
大きな花畑で囲まれた2つの墓には、舞緋都の両親が眠っている。
颯希達が城に向かって歩く中、舞緋都は立ち尽くしたままだった。
しばらくして雨が降ってきたため、戻ろうと踵を返す。
後ろから声がした。
舞緋都は振り返り、声の正体を確かめた。
水都 side
今にも泣き出しそうな声で僕の名前を呼ぶ舞緋都。
何年ぶりだろうか、
彼に会うのは…
両腕を広げ、彼を待つ。
雨の中走る音と共に僕の体に暖かい体がくっついてくる。
なんて可愛いのだろうか。
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総統室に響く大きなため息。
そんな総統様を横目に、鬱、トントンはまた小さなため息をつく。
グルッペンは机の引き戸を開け、資料を掻き分け、一番奥にあった1枚の古い紙を取り出した。
異能力者の開発について
奴隷だった人間を集め、実験を行う。
被検体は15人、そのうち5人だけ成功、その他は細胞が壊れ塵となった。
しかし、5人のうち2人だけ特殊な被検体がいた。
うなじに100と刻まれた被検体だ。
どうやら能力を使っていく度に数字が減っていくらしい。
2人の被検体のどちらかに、能力を使わせ、数字を0にさせた。
あっという間に塵となって消えた。
数字が0になると塵になるらしい。
グルッペンが訝しげにしんぺい神に問う。
しんぺい神はにっこり笑いながら後ろにいる人物を露にした。
グルグルに縄で縛られているフユカは、機嫌悪そうに頬を膨らませている。
総統であるグルッペンを睨みつけ、能力を放とうとする。
フユカはしんぺい神に言われ、能力を使うのをやめた。
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なぜ従ったのかは、しんぺい神に聞いてみようか。
Q.なぜ?
との事です((((殴殴殴殴蹴
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フユカがゾムをキッと睨みつける。
ゾムはたじろぎ、そっとフユカの頭を撫でた。
ゾムの急な優しさに驚いたフユカは、間抜けな声を出し、下を向いてしまった。
解放されたフユカは、鬱に近寄り、腰あたりを掴むと、思いっきり後ろに投げた。
グルッペン達はフユカを連れ、食堂に向かった。
他のメンバーは既に昼食をとっており、いるのはさっきのメンバーのみ。
可愛いな
と思ったメンバー達でした。
ゾムの食害が続き、終わった頃には鬱やコネシマは撃沈していた。
しかしフユカは平気そうにお茶を飲み干す。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!