あなたside
玄樹「ご馳走様でした!」
そう言って後片付けをしようとする玄樹くん。
『あ、いいのに。
私やるよ』
玄樹「いーの!俺がやるから。ね?」
こんな、あざと可愛い目で見られたら断れない…。
『わ、わかった…』
玄樹くんが洗い物してる時、
私はずっとテレビを見ていた。
しかも…探しているのは、
平野くんじゃなくて玄樹くん。
玄樹「なんでそんなに俺のこと目で追ってるのー?
あ、もしかして俺のこと好きになった?♡♡」
『それは絶対ない』
玄樹「ひどい…笑」
そう。絶対ないと思いたかった。
すると、その時…。
プルルルルルル
と電話が鳴った。
玄樹「んもー!
誰…こんな時間にって、ぷ~かよ」
彼氏さんからの電話でしたか。
玄樹「はい、もしもしー」
ちょっと不機嫌そうに電話にでる玄樹くん。
相手の神宮寺くんの声がでかいから
こっちにまで聞こえる。
神宮寺:やほほほほ!
電話越しでもチャラい神宮寺くん。
玄樹「なに?」
神宮寺:いやさ、この前
商店街でガラポンやってたんだけど!
玄樹「うん。で?」
神宮寺:俺が回したら見事に当たっちゃって!
玄樹「景品は?」
神宮寺:箱根旅行!
玄樹「おぉーーーー(棒)」
すっっっっごい棒読み感がハンパない 笑
神宮寺:でね?俺行く相手いないし、
玄樹にあげる!
玄樹「え、なに、要らないんだけど」
毒吐き玄樹くん 笑笑
神宮寺:まあまあ、そー言わずに!
もう玄樹のポストん中に入ってるかもしれないから!
玄樹「えぇ〜…」
そう言って頭をかきながら出ていった玄樹くん。
そして数秒後戻ってきた。
その玄樹くんの手にには
二枚のチケットが握られていた。
玄樹「ねぇ〜、ぷ〜。
1人でのんびりしてこい!とかなら
まだ分かるけどさー。
2枚って行く人いな…」
そう言いかけた玄樹くんは私を見て
喋るのをやめた。
神宮寺:玄樹?おーい?玄樹ー?
玄樹「よし!ぷ〜!貰っとく!」
神宮寺:え?あ、おう?
玄樹「んじゃ!」
神宮寺「え、ちょ、」
ブチッ
玄樹「さてさて。
そーゆーことで」
玄樹くんの言いたいことがなんとなく分かる…←
玄樹「俺と箱根行かない?」
『…行ってもいいけどさ。
ジャニーズだよ?玄樹くん』
玄樹「そこは、大丈夫!
仮装してくし?」
仮装しただけでバレないなんて思ってる玄樹くん。
あなたはどれだけ自分が有名か知りませんね 笑
玄樹「んで?いい?」
『…まぁ』
玄樹「よし!じゃあ明日ね!」
『明日?!』
玄樹「冗談だよ 笑」
私のビックリした顔を見て笑う玄樹くん。
その顔は眩しいくらいに綺麗だった。
玄樹「1週間後ぐらいかな〜?」
『まぁ、色々と準備必要ですしね』
玄樹「そうだね!
じゃあ、1週間後で!」
そう言ってルンルン気分で玄樹くんが帰っていった。
なんとなく…私もこの旅行が楽しみだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。