ドンッ
司先輩が手を差し出してくれたからそれを掴む
司先輩は私を立ち上がらせると口元に手を当て何やら考え始めた
どうしよう、記憶がないなんて言えない
司先輩にこれ以上心配をかけるわけには…
私は1年前、司先輩に助けて貰った。
電車に乗っている時に痴漢に遭って
声も出せなくなっていた私を司先輩は助けてくれた
その場ではお礼を言って別れたけれど、その後高校で再会したのだ
私のことを覚えていてくれた司先輩は、それからことあるごとに私の心配をしてくれるようになった
ただでさえ司先輩にはずっと心配されているのに
これ以上心配をかけるわけにはいかないし…
司先輩なら、助けてくれるだろうか?
正直、思い出せるのなら思い出したい
確かに触れた温もりを
この人が、誰なのかを
知りたい_______
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。