かれこれ30分はこんな感じだ
青柳くんは私を抱きしめたまま何も話してくれない
彼の背中に手を回していいものか考えあぐねているけれど、どうすればいいんだろう
急に話しかけられて変な声が出てしまった
お恥ずかしい…
さっきも似たようなことを言っていたけれど、どういう意味なんだろう
青柳くんが頼りないと思ったことは1度もない
しばらく黙っていた青柳くんがそっと私から離れた
なんだか離れ難いけれど、わがままは言えない
冬弥side
司先輩に対して醜い嫉妬をして、あなたの名字を困らせてしまった…
気まずくなって、俺は立ち上がる
くん、と裾を引っ張られて、少し姿勢を崩す
振り向いてみれば今にも泣きそうな顔のあなたの名字が制服の裾を掴んできていた
せっかく離れたのに
離れ難く、なってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。