第9話

みえる
318
2021/09/01 12:56
あれから
ユウキには、私も言い過ぎたと返信した。
今は付かず離れずの微妙な関係を
アキが間を取ってくれてる感じ。

伏黒も登校している。前よりも学校で話す様になった。
これ、遅くなったな。ありがとう。
帰り際、キレイにアイロンされたハンカチが帰ってきた。
あなた

うん。アイロンしてくれたの?

まぁな。···うん
(ジー・・・)
あなた

?な、なに?どーしたの?

いや、…葉山はこっち側の人間なのか?
あなた

こっち側?どっち?え?なに?

…だよな。わかんねーのも無理ないよ。
(五条さんが変な事ゆーからぐだぐだじゃねーかよ)
あなた

?五条さんにも言われたけど。
伏黒とか五条さん側ってこと?

うーん。なんて言えばいーんだろうか。
(しかも、先に言ってやがる)
そういう事ではあるんだけどな。
あなた

…性別違うし…

ってなるよな。
スマン。忘れてくれ。
じゃな。
全くわからなかった。
でも、そっち側なんだろうな。きっと。
しばらくして、アキ、ユウキのグループLINEで
アキが3年の男子から告られたと報告があった。
相手は通学時のバスが一緒だったらしい。

何かと姉御肌のアキだが、実は私とユウキなんかより
ずっと女性らしい。
付き合うかはまだ分からないけど、
気になっていた人だから、友達からって言ってた。
でも、アキの話を聞いて嬉しく思ったんだ。


3人で盛り上がった後に、個別でアキからメールが来た。
アキ
あなたも色々甘えてね!応援してるよ。
いつでも相談聞くからさっ。
どこまでも姐さんなアキのメールで、ちょっと泣いた。
学校で3人でいるのは、休憩時間だけになった。
二人共、何も用がなければ彼と下校するから。
転校してから、初めてできた友達の幸せ話を
少し羨ましく聞いている。
どんどん、二人が大人になって離れて行くようで
取り残された気分になり淋しくなった。

私はと言えば、何も変わらない。
伏黒は放課後、教室出るのが早い。
ここの所、本も借りていないみたい。
ハンカチも返してくれたし、接点がなくなった。
ー屋上ー
あなた

う〜ん(伸びをする)ん?

一瞬、視界の端に何かが横切った様にみえた。
目を向けると、そこには白い大型犬がいた。
エッ、葉山っ?
あなた

ぎゃ~~!
(耳をふさいでしゃがみ込む)

だ、誰かが私の苗字呼んだ〜!!!
あなた

フッテイソンシタランヂ
ノウボボギャバテイ・・・

おいっ!葉山。おいって。おい。
あなた

ハッ。(目をうっすら開ける)ふ、伏黒なのぉ。
・・・なんだぁ、ビックリしたぁ。

オレも、誰も居る訳ないって思ってたから
ビックリしたよ。
つか、さっきブツブツ言ってたケド、何だ?
あなた

あ、ソンショウダラニ。
霊を祓うおまじないなんだって。
出くわしたら唱えろって、
昔おばあちゃんから教えて貰ったんだ。

え。出くわした?
あなた

さっき、白い犬がいたの!絶対見た。
そしたら苗字呼ばれたから、つい。
オバケかと思うじゃ~ん

お前、白い犬見えたのか?
あなた

見た見た、でっかい犬。
いや、もしかしたらオオカミだったかも…
見なかった?キョロキョロ

めしを食ってる時、五条さんに言われたんだ。
五条
多分こっち側の子だよ。あなたちゃんだっけ?
自覚してないみたいだけどな。
そーゆー子の方が、
恵には合ってると思うよー?
一般人を相手にできるほど、
キミ器用じゃないし。
どーゆー事ですか。オレだって…
てか、何の話してんだよ。
五条
うーん。僕らの仕事は基本的に
一般人との恋愛や結婚向きじゃないって話。
駄目じゃないけど、理解できる子の方が
当然いいんだよ。ラクでしょ。
まして、1級や特級は他の呪術師と違って
任務量が別格。忙しんだよね〜
恵は、僕みたいになる予定だからさ。
オレは…
五条さんみたいになるつもりないです。
オレが誰を助けるってんだよ。
五条
なるんだよ。必ずね。
あ、もしあの子がこっち側だったら、
自分の事話していーからさ。がーんばっ。
つか、早くメシ食えよ。
あなた

伏黒?

あ、いや。さっき見た白い犬が、 
現実には存在してないとしたら、
信じれるか?
あなた

…信じるよ。なんか久し振りだったけど、私ね
たぶんそーゆーの見えるのかも。
人には言えないけど。怖がられるから。
って、伏黒には言っちゃったハハハ。内緒ね。

あなた

って、…そういう事…?

コクンそういう事だ。
伏黒の話を聞いた。
さっきの犬は伏黒が出したらしい。
たまに誰も居ない屋上で、練習していたみたい。
視える私も、触ることができるんだって。
伏黒は強制的に五条さんにより
稽古を付けてもらっているみたい。だから体術の本も参考書代わりになっているんだって。

ふーん…呪術師かぁ、聞いていても怖くはなかったけど、
そういう世界があるって事に驚いた。
あなた

伏黒、スゴイ!カッコいいね。

えっ///そ、んなことねーよ///
まだ、修行中だし。
五条さんにメタメタにされるし…
イヤなんだよ。
あなた

えー、なんで?すごいよね。
伏黒は選ばれた人なんだもん。
絶対大丈夫だよ。
沢山の人を救ってあげて欲しい。

/////まーな。

選ばれた人…か。

津美紀は疑う余地のない善人だった。
誰よりも幸せになるべき人だった。それでも呪われた。
因果関係はわからないが、大切な人には
幸せになってほしい。ただそれだけなんだ。

オレでも呪術師になれば救う事がきるのだろうか…
あなた

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