あれから
ユウキには、私も言い過ぎたと返信した。
今は付かず離れずの微妙な関係を
アキが間を取ってくれてる感じ。
伏黒も登校している。前よりも学校で話す様になった。
帰り際、キレイにアイロンされたハンカチが帰ってきた。
全くわからなかった。
でも、そっち側なんだろうな。きっと。
しばらくして、アキ、ユウキのグループLINEで
アキが3年の男子から告られたと報告があった。
相手は通学時のバスが一緒だったらしい。
何かと姉御肌のアキだが、実は私とユウキなんかより
ずっと女性らしい。
付き合うかはまだ分からないけど、
気になっていた人だから、友達からって言ってた。
でも、アキの話を聞いて嬉しく思ったんだ。
3人で盛り上がった後に、個別でアキからメールが来た。
どこまでも姐さんなアキのメールで、ちょっと泣いた。
学校で3人でいるのは、休憩時間だけになった。
二人共、何も用がなければ彼と下校するから。
転校してから、初めてできた友達の幸せ話を
少し羨ましく聞いている。
どんどん、二人が大人になって離れて行くようで
取り残された気分になり淋しくなった。
私はと言えば、何も変わらない。
伏黒は放課後、教室出るのが早い。
ここの所、本も借りていないみたい。
ハンカチも返してくれたし、接点がなくなった。
ー屋上ー
一瞬、視界の端に何かが横切った様にみえた。
目を向けると、そこには白い大型犬がいた。
だ、誰かが私の苗字呼んだ〜!!!
めしを食ってる時、五条さんに言われたんだ。
伏黒の話を聞いた。
さっきの犬は伏黒が出したらしい。
たまに誰も居ない屋上で、練習していたみたい。
視える私も、触ることができるんだって。
伏黒は強制的に五条さんにより
稽古を付けてもらっているみたい。だから体術の本も参考書代わりになっているんだって。
ふーん…呪術師かぁ、聞いていても怖くはなかったけど、
そういう世界があるって事に驚いた。
選ばれた人…か。
津美紀は疑う余地のない善人だった。
誰よりも幸せになるべき人だった。それでも呪われた。
因果関係はわからないが、大切な人には
幸せになってほしい。ただそれだけなんだ。
オレでも呪術師になれば救う事がきるのだろうか…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!