司が私に聞いてきた。
…よし、誘導成功。これで仕事がひとつ減った。
千空を探す時間も必要だから、私の仕事はなるべく減らさなくちゃ…。
──────数日後────────
南の助力があり、司の仲間はかなり増えた。
大樹と杠がこっちに来たときはかなり取り乱しそうになったけど、なんとか耐えた。
おそらく、二人は私が司についていることを知らない。
私が避けてるからだ。
…大樹に会ったら叫ばれて司にバレるだろうしね。
だから、今一番めんどくさい問題は…
メンタリスト、あさぎりゲン。
この人がいると、私は思うように行動できない。
心理を読まれたら即刻アウトだ。
………何だろう、何かしただろうか。
まさかバレた…?
私の考えを予測できる者がいるならば、ゲン以外あり得ないはず…
チラリとゲンの方を向く。
ダメだ、分からない。
ゲンはいつも笑っていて、感情が読めないのだ。
大丈夫。私はしくじってない。きっとバレてない。
自分を落ち着かせながら司のもとに向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!