冬弥 視点
何時も朝は早くに目覚める。
小さい頃からの癖…なのだろう。
幼少期から続いていたピアノ練習。
5時頃に起こされ、7時に学校。
帰宅後、ピアノとヴァイオリン練習。
夕食、お風呂を済ませて9時に就寝。
きっちりと計画、計算された生活。
きっと、誰かに言ったら変と思われるだろう。
だけどある日、ピアノに触れる事さえ
出来なくなった。
父は当たり前の如く腹を立てた。
母も父に怒られ泣いていた。
何も悪くない母を泣かせた俺は悪い子だと思う。
だけど、あなたはそんな俺を怒らなかった。
優しく励ましてくれた。
あなた
「冬弥、冬弥大丈夫。嫌なら辞めてもいい。
逃げ出しても良い。私が冬弥の分も頑張るから。
だから…冬弥も自分に合う音楽を見つけて、
それを極めて、てっぺんに上り詰めてよ!!
それでさ、一緒に演奏しよ…!!」
冬弥
「うぅ…あなた……!!
良いの…?辞めて逃げても良いの…?」
あなた
「うん、大丈夫…辛かったよね、嫌だったよね。
早く気づけなくてごめんね…
こんなんじゃお姉ちゃん失格だよ……。
この人生はお父様の物じゃない。
冬弥の人生なんだから!!自由に行きなよ!!」
あなたはそう言って部屋を出て行った。
そこで止めなかった自分が嫌で仕方がなかった…。
彰人
「おっ、冬弥!今日も早いな」
冬弥
「彰人…おはよう…」
彰人
「……………また父親か…?」
冬弥
「……嗚呼、まだそれだけだと良かったんだが…」
彰人
「…………ん?」
冬弥
「まぁ良い、また小豆沢達が居る時に話す」
彰人
「おう…」
あなた
「冬弥〜!!お弁当〜!!」
何処からか聞きなれた声がして振り返ると
確かに俺の弁当箱を持って走ってくるあなたの姿
があった。
俺の唯一の姉で、家族の中で理解してくれている。
あなたのあの一言が無ければ俺はビビットストリート
には行かなかっただろう。
冬弥
「あなた、わざわざありがとう」
あなた
「いえいえ〜♪役に立てて良かった!
今度からは忘れないでね!
って、隣の人って………」
彰人
「初めまして、青柳冬弥さんと相棒として歌わせて
貰っている東雲彰人です
えっと…彼女さん…ですか?」
あなた
「………?彼女………?
えっ冬弥彼女なんていたの?!早く言ってよ〜!!」
冬弥
「いや、彼女なんていない…
彰人、あなたは俺の双子の姉だ」
そう言うとあなたは安堵した表情をして
彰人は驚いた表情をしていた。
反対で少し笑えてきた。
それと、相変わらず初対面の人には猫を被る彰人に
少し溜息が出そうになった。
身内なのだから良いのに……。
もう 出しちゃえ !!
こうやって 私 は 約束 を 守れない …
刀剣乱舞 の 方 ネタ が 思い つかない … チーン
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。