〔翌日〕
ドラマの撮影は順調に進んでいった。
そうの成長もすごいもので
みんなが負けるものかと撮影に取り組み、
周りにも良い影響をもたらしていた。
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みんなの息を吸う音が聞こえる。
みんないる…。
体がぞわっとする…
胸が高鳴っているのを感じる。
もう最後だけど…今の私を全てぶつける…
━━━ゆいといくの唇が優しく触れた。
きっとこの先も大丈夫だと強く信じて。
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《《《プルルルルルルッッ》》》
《《《プルルルルルルッッ》》》
ドラマの撮影が終わってから
そうは自分の親について調べ始めた。
すると案外早く発見することができた。
そうの両親の経営する会社が倒産し、
夜逃げ当然で家を出ることになり
大切な息子を急に巻き込みたくはないと
園に引き取ってもらったらしい。
その事実をしったそうは
すこし寂しそうに、だけどスッキリした顔で
『そんなことか、』と笑っていた。
そうがまだ幼い頃に
身勝手にも親の責任を放棄し
園に引き取ってもらっていたため、
そうの実の両親は今更行けないと
そうに会いに行くのを
何年もためらっていたらしい。
そうは、また新しく家族を始めると
晴れやかな顔で園長さんに伝え、
もとの家族へと戻っていった。
私もそうも…変に絡まって
なかなかもとに戻ることは出来なかった。
子供を置き去りに
するなんてあってはならないこと。
だけどそれを踏まえた上で
私達は改めて家族を始めていく。
撮影が終わり家族との問題も一時解決した頃、
ドラマ関係者の集りで
私はそうと再び会う機会があった。
その時のそうの瞳は
出会った頃よりも多くの光を宿していた。
きっとこれからも
そうの輝きは増す一方で…
その瞳にももっと多くの光を宿していくだろう。
次に会うときのそうは
さらに綺麗になってるのかと思うと
楽しみでもあるし恐ろしくもある。
今は……そうの目指す先に
輝くizuが立っているように。
私は頑張り続けないといけない。
あのあつい夏は
私達にとって一生心に残るものとなった。
これから先も、もっと先へ進んでいけるように
私達は伝えていかないといけないことも
たくさんある。
みんなそれぞれ特別な何かを持っていて
まだそれにみんな気づけていない。
私達があの夏に
得たものはとても大きいことだった。
人から言われる特別は
確かに自分自身にも大切なものだった。
それをあの夏気づくことができた。
けれどその特別なものを持っていることは
自分にとって幸せなんだと感じるのには
とても時間がかかるし、難しいことだとも思う。
一人じゃないよ、大丈夫。
周りをみればみんながいるって…
私はみんなに伝えていきたい。
『君が持っているものには
ちゃんと意味があるんだよ』って。
これから先も繋げていこう。
あの夏のことも。
家族のことも。
私の体験したことも。
私達の思いも。
子供たちのことも。
わくわくすることも。
胸が高鳴ったことも。
大切なことなにもかも…。
END
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。