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第16話

好きだから、別れる
悠も足を止めて、私をじっと見つめた。


彼の顔からも、笑みは消えている。
水瀬 悠
水瀬 悠
嫌だ

悠ははっきりと、拒否した。


でももう、強引に流されるわけにはいかない。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
約束を破ってるのは分かるけど、こういう状況、私はもう嫌なの
水瀬 悠
水瀬 悠
じゃあ、俺の考えを当てて。
どうして、君の間違えた告白を受け入れたのか。
じゃないと別れない

悠も頑として譲らない。


負けじと言い返したいけれど、こればかりは躊躇してしまう。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
……っ

喉元まで出かけた言葉を、一度飲み込む。


どうしても、うぬぼれのように感じてしまって、言い出す勇気がない。


そんな私に痺れを切らしてか、悠がにじり寄ってきた。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
えっ、なになに!?
水瀬 悠
水瀬 悠
…………
あっという間に、廊下の壁際まで追い詰められた。


私の顔の両隣には、悠の手と肘がつかれている。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(こ、これは世間で有名な壁ドン……!)

そんなことを考えている場合ではないのに、思考が一瞬逃避した。


頭を振り、恐る恐る見上げると、目と鼻の先に悠の顔がある。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
(ち、近いっ)
水瀬 悠
水瀬 悠
今、最大のヒントをあげてるけど?
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
ヒント?

視線が交わると、淡褐色ヘーゼルの瞳が揺らいで、色が変わる。


それは熱を帯びているようにも見えて、私は耐えきれずに目を逸らしてしまった。


前にも、こんなことがあった。


あのときも、こうして心臓が高鳴っていた。


それを思い出し、私は腹を決める。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
二回目の回答だけど……。
『私のことが、好き』……とか?

自分で言っておいて恥ずかしさに消えたくなりながら、どうにか最後まで言葉を紡ぎ出した。


悠は大きな溜め息をひとつ吐くと、壁から手を離して、私の頭をぐりぐりと撫でる。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
えっ、なに?
正解なの? どっち?
水瀬 悠
水瀬 悠
正解。
じゃあ、約束通り別れる。
今日までありがとう、な。
……楽しかった

悠は名残惜しそうに言って、職員室がある方向とは反対へと歩いて消えていった。


結局、職員室に用があるというのも、私に話しかけるための口実だったのだ。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
終わった……やっと

望んでいた結末が得られたはずなのに、心の底から喜ぶなんてことはできなかった。


壁伝いに私は床へと崩れ落ち、放心状態になる。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
私を好き? 好きだから、別れるって……なに?

そんな矛盾した言葉、私の人生では聞いたことがなかった。


去り際の悠の顔が、目に焼き付いて忘れられない。
黒須 響希
黒須 響希
雪乃?
そんなとこでどうしたんだ?
全然戻ってこないから、心配して……

一向に戻ってこないことを心配した響希くんが捜しに来るまで、私はそこから立ち上がれず、ぽつんと座り込んでいた。
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
響希くん……
黒須 響希
黒須 響希
大丈夫か?
何か、あったのか?
悠は?

彼の問いかけに、私は語る言葉を持たない。


泣きべそをかきながら首を横に振るばかりで、響希くんを困らせてしまった。
黒須 響希
黒須 響希
分かった。
とりあえず、生徒会室に戻ろう。
で、今日は早めに帰らせてもらおう
早乙女 雪乃
早乙女 雪乃
……うん

何かを察していても、黙っている響希くんの優しさに救われる。


結局、この日は悠も生徒会室には戻ってこなかったらしい。


【第17話へつづく】